/ 鑑定理論

開発リスク相当額とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

開発を伴う不動産について、開発に係る工事が終了し、不動産の効用が十分に発揮されるに至るまでの不確実性に関し、事業者(発注者)が通常負担する危険負担率を金額で表示したものです。つまり、建物が完成してから入居や売却が済んで効用が十分に出るまでの間に、事業者が背負う危険をお金に直したものです。

開発リスク相当額とは

賃貸マンションを建てた事業者は、建物が完成した瞬間から家賃が満額入るわけではありません。入居者が集まるまで空室が続き、その間に景気が変わって家賃が下がることもあります。この「完成から効用が十分に出るまで」の危険を引き受けることに対して事業者が通常見込む取り分が開発リスク相当額です。基準の語ではありませんが、実務では発注者利益とも呼ばれるものです。基準は、標準的な開発リスク相当額が発注者の通常の付帯費用に含まれる場合があると定め、留意事項がこの定義を置いています。

開発リスク相当額の図解:完成してから効用が十分に出るまでの危険を、事業者が背負う。

完成してから効用が十分に出るまでの危険を、事業者が背負う。

危険を負う期間は、工事終了から効用が十分に出るまでです

留意事項の定義は、開発に係る工事が終了し、不動産の効用が十分に発揮されるに至るまで、と期間を区切っています。建物ができたところで終わりではなく、入居が埋まる、買い手が付く、というところまで続く危険です。この間の不確実性を事業者が通常負担する危険負担率として見積もり、金額に表したものが開発リスク相当額です。危険負担率は市場で標準的に見込まれる率であり、特定の事業者の高い利益をそのまま乗せるものではありません。

通常の付帯費用に、含まれる場合があります

基準は、通常の付帯費用には建物引渡しまでに発注者が負担する通常の資金調達費用や標準的な開発リスク相当額等が含まれる場合があることに留意せよ、と定めています。再調達原価は、建物を使える状態で手に入れるまでに市場でふつうかかる費用の総額なので、事業者が通常負担する危険の対価もその一部です。資金調達費用と開発リスク相当額は並んで挙げられており、どちらか一方だけを認める定めではありません。

自分で使う建物でも、通常の場合を想定して見込みます

基準は、再調達原価を建設請負の通常の場合を想定して求めるとだけ定め、自分で使うために建てた建物を別扱いにしていません。これは、現実の発注者が自分で使うために建てたかどうかで再調達原価は変わらない、と読めます。自分の店を自分で建てた店主は利益を取っていないように見えますが、市場で同じ建物を作るなら、標準的な事業者はその危険を負担して対価を見込みます。だから自用の建物及びその敷地でも、付帯費用に標準的な開発リスク相当額(いわゆる発注者利益)が含まれる場合があると読めます。

開発リスク相当額の図解:自分で使う店でも、市場で作るなら事業者が負担する危険の対価を見込む。

自分で使う店でも、市場で作るなら事業者が負担する危険の対価を見込む。

開発リスク相当額とは、開発を伴う不動産について、当該開発に係る工事が終了し、不動産の効用が十分に発揮されるに至るまでの不確実性に関し、事業者(発注者)が通常負担する危険負担率を金額で表示したものである。

出典: 総論第7章 第1節

実務ではこう使う

賃貸マンションの積算価格を求めるとき、竣工後の入居が埋まるまでの空室リスクや売却までの市況変動を見込み、建設費の数パーセントを開発リスク相当額として付帯費用に計上することがあります。評価書では、市場で標準的に見込まれる率として根拠を示します。自社ビルや自用の店舗でも、同じ考え方で計上の要否を検討します。

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