/ 鑑定理論

継続賃料固有の価格形成要因とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

継続賃料を求めるときに、新規賃料にはなく加わる価格形成要因で、直近合意時点から価格時点までの期間における要因が中心です。つまり、最後に賃料を決めてから今までに周りの賃料・地価・税金がどう動いたかと、この契約をどう結びどう改定してきたかという事情です。

継続賃料固有の価格形成要因とは

10年前から店を借りている借り手の家賃を改定する場面を考えます。周りで新しく入った店の家賃が上がっていても、いきなり同じ額にはなりません。これまでいくらで合意してきたか、その後に固定資産税や地価がどれだけ動いたか、借り手が街のにぎわいにどれだけ貢献したか、といった事情が賃料に効くからです。こうした、続いている契約だからこそ生じる事情が継続賃料固有の価格形成要因です。新しく貸すときの賃料(新規賃料)には無い要因なので「固有」と呼びます。

継続賃料固有の価格形成要因の図解:続いている契約だからこそ、これまでの経緯と変化が賃料に効く。

続いている契約だからこそ、これまでの経緯と変化が賃料に効く。

各論第2章は五つの要因を例示しています

各論第2章が例示するのは、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における宅地の賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料の推移及びその改定の程度、土地価格の推移、公租公課の推移、契約の内容及びそれに関する経緯、賃貸人等又は賃借人等の近隣地域の発展に対する寄与度の五つです。前の三つは、周りの賃料、地価、税金という外の数字がどう動いたかです。後の二つは、この契約をどう結びどう改定してきたか、貸し手や借り手が街の発展にどれだけ貢献したかという、当事者の事情です。「主なものを例示すれば」とあるとおり、五つで尽きるわけではありません。

期間は直近合意時点から価格時点までが中心です

直近合意時点とは、契約当事者間で現行賃料を合意し、それを適用した時点です。継続賃料の鑑定評価は現行賃料を前提に、この時点以降の変動や経緯を総合的に勘案して決めます。だから固有の価格形成要因も、契約の開始時点からではなく、直近合意時点から価格時点までの期間における要因が中心になります。基準は「中心となる」とだけ書いていますが、直近の合意までの事情は現行賃料に織り込み済みだと読めます。ただし各論第2章は、実際支払賃料を改定するときの勘案事項に、契約上の経過期間も挙げています。

継続賃料固有の価格形成要因の図解:最後に賃料を決めてから今までに、周りの賃料・地価・税金がどれだけ動いたかを見る。

最後に賃料を決めてから今までに、周りの賃料・地価・税金がどれだけ動いたかを見る。

継続賃料の四つの手法で留意し、期待利回りには持ち込みません

継続賃料を求める手法は、差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法の四つです。差額配分法では賃料差額のうち賃貸人等に帰属する部分を判定するとき、利回り法では継続賃料利回りを求めるとき、スライド法では変動率を求めるときに、それぞれ継続賃料固有の価格形成要因に留意します。継続賃料に係る賃貸事例比較法でも、この要因の比較を適切に行うことに留意します。一方、新規賃料の積算法で使う期待利回りについて基準が留意を求めているのは賃料の有する特性で、寄与度のような続いている契約の事情は挙げていません。

継続賃料固有の価格形成要因の図解:継続賃料の四つの手法には付き、新規賃料の期待利回りには付かない。

継続賃料の四つの手法には付き、新規賃料の期待利回りには付かない。

試算賃料を求めるに当たっては、継続賃料固有の価格形成要因の比較を適切に行うことに留意しなければならない。

出典: 総論第7章 第2節

実務ではこう使う

継続賃料の評価書では、契約締結からの改定履歴、更新時の交渉の経緯、借り手が負担した造作や周辺の開発への貢献などを聞き取り、差額の配分や継続賃料利回り、変動率の査定にどう反映したかを書きます。直近合意時点がいつかを契約書と改定の合意書で確かめ、報告書に記載します。新規賃料の試算では、これらの事情を意図的に切り離します。

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