/ 鑑定理論

公示価格との規準とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

鑑定評価額の決定に当たり、地価公示法施行規則第1条第1項に規定する国土交通大臣が定める公示区域において土地の正常価格を求めるときは、公示価格を規準としなければならないという定めです。つまり、利用価値の似た標準地の公示価格と対象の土地を比べて、両者の価格の間に均衡を保たせることです。

公示価格との規準とは

国の土地鑑定委員会は毎年、公示区域内の標準地について、二人以上の不動産鑑定士の鑑定評価をもとに単位面積当たりの正常な価格を公示しています。これが公示価格で、土地の取引の目安として新聞にも載ります。鑑定士が公示区域の中で土地の正常価格を求めるときは、自分の試算価格だけで決めるのではなく、利用価値の似た標準地の公示価格と対象の土地を比べて、両者の間に均衡を保たせなければなりません。基準は、手順を尽くして鑑定評価額を決定する場面でこの義務を定め、地価公示法も同じことを定めています(地価公示法第8条)。

公示価格との規準の図解:公示区域の中で土地の正常価格を求めるときは、標準地の札と均衡を保たせる。

公示区域の中で土地の正常価格を求めるときは、標準地の札と均衡を保たせる。

規準とは、標準地と比べて均衡を保たせることです

地価公示法第11条は、公示価格を規準とするとは、対象土地と類似の利用価値を有する一又は二以上の標準地との位置、地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因について比較を行い、その結果に基づき、標準地の公示価格と対象土地の価格との間に均衡を保たせることだと定めています。公示価格をそのまま使うのでも、公示価格に合わせて答えを曲げるのでもありません。標準地から対象地までの違いを一つずつ比べて、公示価格から見ても対象地の価格がつり合っているかを確かめる作業です。

公示価格との規準の図解:標準地との違いを位置・地積・環境で一つずつ比べ、公示価格とつり合う価格を確かめる。

標準地との違いを位置・地積・環境で一つずつ比べ、公示価格とつり合う価格を確かめる。

範囲は公示区域で、都市計画区域と同じではありません

公示区域とは、都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域で、国土利用計画法の規制区域は除かれます(地価公示法第2条第1項)。その省令である地価公示法施行規則第1条第1項は、公示区域を、都市計画区域と、都市計画区域の外で土地取引が相当程度見込まれる区域のうち国土交通大臣が定めるもの、としています。都市計画区域は公示区域の中心ですが、都市計画区域の外でも土地取引が相当程度見込まれる区域は公示区域に含まれ、規制区域は都市計画区域の中でも外れます。規準の義務があるかどうかは、対象の土地が都市計画区域にあるかではなく、公示区域にあるかで決まります。

公示価格との規準の図解:都市計画区域の外でも、取引が見込まれる区域は公示区域に入る。

都市計画区域の外でも、取引が見込まれる区域は公示区域に入る。

対象は土地の正常価格で、更地に限りません

義務がかかるのは「土地の正常価格を求めるとき」です。地価公示法は、建物がある土地や地上権等が付いた土地についても、それらが無いものとして成立する価格を対象土地の価格として規準の対象に含めています(地価公示法第11条)。建付地の評価でも、土地の正常価格を求める以上は規準が要ります。求めるのが限定価格や特定価格であれば、正常価格ではないので、この義務の対象ではありません。規準に関する事項は、鑑定評価報告書の決定の理由の要旨に記載します(総論第9章第2節)。

第1節から第8節で述べた手順を十分に尽した後、専門職業家としての良心に従い適正と判断される鑑定評価額を決定すべきである。

出典: 総論第8章 第9節

5.公示価格との規準に関する事項

出典: 総論第9章 第2節

実務ではこう使う

更地や建付地の評価では、近くの標準地を選び、公示価格に時点修正と地域要因・個別的要因の格差率を掛けて対象地の規準価格を出し、試算価格と並べて評価書の決定の理由の要旨に書きます。公示区域内でも、限定価格を求める案件や建物のみの評価では規準は要りません。公示区域の外の山林などでは、規準の代わりに都道府県地価調査の基準地の標準価格を参考にすることがあります。

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