鑑定評価額の決定の理由の要旨とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
鑑定評価報告書の記載事項の一つで、なぜその鑑定評価額に決めたのかを、地域分析及び個別分析、最有効使用の判定、手法の適用、試算価格又は試算賃料の調整、公示価格との規準、当事者間で事実の主張が異なる事項、その他の七項目で説明する部分です。つまり、依頼者だけでなく第三者が読んでも、額に至る筋道をたどれるように...
鑑定評価額の決定の理由の要旨とは
家の査定書に「3,000万円」とだけ書いてあっても、納得はできません。周りの相場はどうか、この家の一番よい使いみちは何か、どの方法で計算し、複数の計算結果をどう一つの額にまとめたのか、が書いてあって初めて額の意味が分かります。報告書でこの説明を受け持つのが「鑑定評価額の決定の理由の要旨」で、基準は七つの項目を掲げています。第1節が、決定の理由は第三者に対しても十分に説明し得るものにせよと求めているのを、項目に落とし込んだものです。

額だけでは伝わらない。七つの項目で、額に至る筋道を第三者に見せる。
七項目は、鑑定評価の手順を追う順に並んでいます
七項目は、地域分析及び個別分析に係る事項、最有効使用の判定に関する事項、鑑定評価の手法の適用に関する事項、試算価格又は試算賃料の調整に関する事項、公示価格との規準に関する事項、当事者間で事実の主張が異なる事項、その他、の順です。基準は順番の理由を書いていませんが、前の四つは総論第8章の鑑定評価の手順のうち、鑑定士の判断が入る段階をそのまま追っています。手順の順に判断が書いてあれば、読み手は鑑定士と同じ道筋を自分でたどり直せます。
地域分析では、どの市場で誰と競っているかまで書きます
一つ目の項目では、対象不動産の種別及び類型並びに賃料の種類に応じて、同一需給圏及び近隣地域の範囲及び状況、対象不動産に係る価格形成要因についての状況、同一需給圏の市場動向と典型的な市場参加者の行動、代替・競争等の関係にある不動産と比べた対象不動産の優劣及び競争力の程度等を記載します。価格は市場参加者の行動で決まるので、どの範囲の市場で、どんな買い手が、どんな競争相手と比べて選ぶのかを示さなければ、額の根拠になりません。頭に「種別及び類型並びに賃料の種類に応じ」と付くのは、住宅地と商業地、更地と貸家で見るべき市場が違うからだと読めます。
最有効使用は、建物付きでも更地としての判定を併せて書きます
二つ目の項目では、最有効使用とその判定の理由を明確に記載します。建物及びその敷地の評価では、建物及びその敷地としての最有効使用のほか、その敷地の更地としての最有効使用も記載しなければなりません。基準は理由を書いていませんが、今の建物を使い続けるのが最善か、取り壊して建て替えるのが最善かは、更地としての最有効使用と比べて初めて判断できます。基準は「記載しなければならない」とだけ定めていて、二つが同じ場合に省いてよいという定めはありません。

今の建物のままの最有効使用と、更地としての最有効使用を並べて書く。
手法の適用と調整では、なぜその手法で、なぜその額かを書きます
三つ目の項目では、適用した手法について、種別及び類型並びに賃料の種類に応じた各論第1章から第3章の規定と、地域分析及び個別分析で把握した市場の特性等との関係を記載します。四つ目の項目では、試算価格又は試算賃料の再吟味及び説得力に係る判断の結果、つまり複数の試算結果をどう一つの額にまとめたかを記載します。残りの三つは、公示区域内で土地の正常価格を求めたときの公示価格との規準、争訟等で当事者の主張が異なる事項の取扱い、そして「その他」として支払賃料を求めたときの実質賃料との関連と、継続賃料を求めたときの直近合意時点です。

なぜその手法で、なぜその額かを、依頼者にも第三者にも説明できるように書く。
鑑定評価額の決定の理由の要旨は、下記に掲げる内容について記載するものとする。
出典: 総論第9章 第2節
実務ではこう使う
評価書の本文で最も分量が多いのがこの要旨です。鑑定士は、同一需給圏と近隣地域をどう捉えたか、典型的な市場参加者は誰か、対象の競争力はどうか、最有効使用を何と判定したか、どの手法をなぜ適用しなぜ適用しなかったか、試算価格をどう調整したかを順に書きます。読み手の第三者がこの要旨だけで評価額の筋道をたどれることが目標です。
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