/ 鑑定理論

区分地上権割合とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

区分地上権の設定事例等について、設定時又は譲渡時における区分地上権の価格が、その設定地の更地としての価格に占める割合です。つまり、地下鉄やトンネルのために土地の一部の層を使う権利が、更地の値段の何割で取引されているかという相場の数字です。

区分地上権割合とは

地下鉄の会社が住宅街の地下にトンネルを通すとき、沿線の地主一人ひとりと区分地上権を設定し、対価を払います。同じ路線なら深さも用途も似ているので、対価は「更地の値段の2割」のように、更地価格に対する割合で決まる慣行があります。この割合を、近くの設定事例から読み取ったものが区分地上権割合です。評価では、事例から判定した割合を、価格時点における対象地の更地としての価格に掛けて、区分地上権の価格を求めます。

区分地上権割合の図解:沿線の設定事例から割合を読み、対象地の更地価格に掛ける。

沿線の設定事例から割合を読み、対象地の更地価格に掛ける。

割合は事例の設定時や譲渡時に読み、更地価格は価格時点です

留意事項は、近隣地域及び同一需給圏内の類似地域等で、設定形態が類似している設定事例等を集め、適切な事例を選ぶよう求めています。各事例について、設定時又は譲渡時の区分地上権の価格が、その設定地の更地としての価格に占める割合を求め、それらを総合的に比較考量して適正な割合を判定します。割合を読む時点は事例ごとの設定時や譲渡時ですが、掛ける相手は価格時点における対象地の更地としての価格です。留意事項はこの手法で特に地域要因と個別的要因の比較に留意するよう求めていて、地下鉄のように広い範囲にまたがる工作物では近隣地域にとどまらず類似地域等との均衡を見ること、地下や空間の部分の立体的・平面的な位置、規模、形状が特に重要なことを挙げています。また、設定事例の対価には、トンネルを守るために上の空間の使い方を制限することの経済価値まで含まれていることが多いので、権利の態様や設定期間など事例の中身も確かめてから割合を読みます。

区分地上権の経済価値は、全体に占める割合で把握します

留意事項は、設定地の経済価値を、最有効使用に係る階層等に基づいて生ずる上下空間の効用の集積だと見ます。地下2階から地上5階まで使える土地なら、その値打ちは各階の使い道の値打ちを積み上げたもの、という意味です。だから、そのうち地下の一つの層だけを使う区分地上権の値打ちは、設定地全体の効用との関数関係に着目して、設定地全体の経済価値に占める割合として把握されます。この割合を、最有効使用の効用の配分から組み立てるのが立体利用率で、市場の設定事例から読み取るのが区分地上権割合です。同じ割合でも出どころが違うので、基準は二つを別の手法として並べています。

区分地上権割合の図解:地下から上の階までの効用の積み上げのうち、トンネルの層が占める割合。

地下から上の階までの効用の積み上げのうち、トンネルの層が占める割合。

割合により求めた価格は、標準ではなく比較考量に置かれます

基準は区分地上権の鑑定評価額を、設定事例等に基づく比準価格、土地残余法に準じて求めた収益価格、立体利用率により求めた価格の三つを関連づけて得た価格を標準とし、区分地上権割合により求めた価格を比較考量して決定するとしています。比準価格・収益価格・立体利用率による価格は、いずれも対象地そのものの事情を織り込んで組み立てる価格です。基準に理由は書かれていませんが、区分地上権割合は事例の相場をそのまま更地価格に掛けるだけで対象地の個別の事情が反映されにくいため、標準の三つを確かめる側に置かれていると読めます。

近隣地域及び同一需給圏内の類似地域等において設定形態が類似している区分地上権の設定事例等を収集して、適切な事例を選択し、これらに係る設定時又は譲渡時における区分地上権の価格が区分地上権設定地の更地としての価格に占める割合をそれぞれ求め、これらを総合的に比較考量の上適正な割合を判定し、価格時点における当該区分地上権設定地の更地としての価格にその割合を乗じて求めるものとする。

出典: 各論第1章 第1節

実務ではこう使う

地下鉄やトンネルの事業者は、沿線の多くの土地に同じ深さで区分地上権を設定するので、更地価格に対する割合で対価を決める慣行があります。評価では、事業者や公的機関の設定事例から、深さ・用途・期間の似たものを選び、設定時の割合を整理して対象地に当てはめます。立体利用率で組み立てた価格が市場の相場から外れていないかを、この割合で確かめる使い方になります。

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