農地の個別的要因とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
農地の一筆ごとに、その価格を個別的に形成する要因です。つまり、その田畑で作物がよく育ち、機械で耕しやすく、集落や集荷地に近くて出荷しやすいかを、日照・土壌・農道・灌漑排水・耕うんの難易などの九つで見ます。
農地の個別的要因とは
隣り合う二枚の田んぼでも、水路から水を引きやすく排水もよい田と、水はけが悪くいつも湿っている田では、買い手の付く値段が違います。農道が広くて舗装されていればトラクターやコンバインをそのまま入れられますし、集落や集荷場が近ければ毎日の作業と出荷が楽になります。こうした、その一筆に備わっていて価格を個別に決める条件が、農地の個別的要因です。基準は主なものを九つ例示していて、育てる条件、耕す条件、運ぶ条件の三つの場面に分けると全体がつかめます。

隣り合う田でも、水と道と集落までの近さで一筆ごとに価格がちがう。
九つの項目は、育てる・耕す・運ぶの三つの場面に分かれます
作物を育てる条件が、「日照、乾湿、雨量等の状態」「土壌及び土層の状態」「灌漑排水の状態」の三つです。機械を入れて耕す条件が、「農道の状態」「耕うんの難易」の二つです。作ったものを運ぶ条件が、「集落との接近の程度」「集荷地との接近の程度」の二つです。これに、水害などの「災害の危険性の程度」と、農地法の許可などの「公法上及び私法上の規制、制約等」を加えて九つになります。

育てる三つ、耕す二つ、運ぶ二つに、災害と規制を加えて九つ。
林地とは三つが共通で、耕うんと管理が対になります
「日照、乾湿、雨量等の状態」「土壌及び土層の状態」「公法上及び私法上の規制、制約等」の三つは、農地と林地の両方に例示されています。違いは人の手の入れ方で、田畑は毎年耕して植えるので「耕うんの難易」、山は何十年もかけて下刈りや間伐で育てるので「管理の難易」です。林地にはさらに「標高、地勢等の状態」と「木材の搬出、運搬等の難易」があり、農地の農道・灌漑排水・集落・集荷地・災害の項目はありません。

田畑は毎年耕すから耕うんの難易、山は何十年も手入れするから管理の難易。
埋蔵文化財と地下埋設物は宅地の項目で、農地にはありません
「埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態」は、住宅地・商業地・工業地の個別的要因に例示されています。基準に理由は書いてありませんが、建物の基礎を掘る宅地では地中の遺跡や埋設物が工事を止めて費用を生むためと考えられます。農地の九つにはこの項目が無く、農地の地面にかかわる例示は「土壌及び土層の状態」です。
地域要因とは、同じ事柄でも言い回しが違います
農地地域の地域要因は「日照、温度、湿度、風雨等の気象の状態」「集落との位置関係」「洪水、地すべり等の災害の発生の危険性」と、地域全体の性質を言います。一筆の個別的要因は「日照、乾湿、雨量等の状態」「集落との接近の程度」「災害の危険性の程度」と、その一筆がどの程度かを言います。地域は位置関係、一筆は接近の程度、と対応させると二つの表が混ざりません。
農地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
出典: 総論第3章 第3節
実務ではこう使う
農地の個別分析では、水路からの取水と排水の状況、区画の広さと形、農道の幅と舗装、集落と集荷場までの距離、傾斜と日当たりを現地で確かめます。農地法の許可や農業振興地域の指定は規制として調べます。農地は取引事例が少ないので、事例との比較ではこれらの項目で格差を一つずつ説明します。
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