借地権の態様とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
借地権及び底地の鑑定評価で考慮する諸点のうち、対象となる一つひとつの借地権の中身を見る十の項目です。つまり、創設か継承か、地上権か賃借権か、転借か、堅固か非堅固か、居住用か営業用か、期間の定め、特約、書面か口頭か、登記の有無、定期借地権等かを、契約ごとに確かめます。
借地権の態様とは
同じ街の隣どうしの借地でも、片方は30年の書面契約で登記もあり、もう片方は祖父の代からの口頭の約束で地代も安いまま、ということがあります。街の慣行が同じでも、契約の中身が違えば借地権の値打ちは違います。基準はこの中身を十の項目に整理し、借地権の態様と呼んでいます。契約書と登記事項証明書でおおむね確かめられる事柄で、鑑定士は評価のはじめにこの十項目を一覧にします。借地権の鑑定評価で総合的に勘案する事項の一つ「借地権の態様及び建物の残存耐用年数」の中身でもあります。

契約書と登記を読んで、十の項目を一つずつ確かめる。
十の項目は、契約書と登記で確かめられる中身です
十項目は、創設されたものか継承されたものか、地上権か賃借権か、転借か否か、堅固の建物の所有を目的とするか非堅固か、主として居住用建物のためか営業用建物のためか、契約期間の定めの有無、特約条項の有無、契約は書面か口頭か、登記の有無、定期借地権等か、です。地上権は登記して第三者に主張でき、賃借権は地主の承諾が要る、堅固建物なら借地の期間が長く見込める、というように、どの項目も借地権の強さや続く長さに関わります。基準は十項目を並べるだけで理由は書いていませんが、この十項目が個々の借地権に個別性を生み、価格に影響する事情だと読めます。
口頭の契約でも、効力に違いはありません
「契約は書面か口頭か」が項目に入っていますが、借地契約は口頭でも成立し、書面の場合と契約の効力自体に違いはありません。それでも項目に入れているのは、紛争になったときの証拠力に差があり、口頭の契約には親戚や知り合いの間で地代が長く据え置かれている、といった特殊な事情が伴うことが多いためです。基準は書面か口頭かを挙げるだけで理由は書いていませんが、効力の有無ではなく、価格に個別性を生む事情として見る項目だと読めます。

書面でも口頭でも契約の効力は同じ。違うのは証拠と事情。
態様が違えば、総合的に勘案する事項も変わります
借地権付建物の鑑定評価は、建物が自用でも賃貸でも積算価格・比準価格・収益価格を求めますが、借地権の態様に応じて総合的に勘案する事項が変わります。普通借地権なら(ア)から(キ)まで、定期借地権なら(ア)から(ケ)までで、借地期間満了時の建物等に関する契約内容と、契約期間中に建物の建築及び解体が行われる場合における建物の使用収益が期待できない期間が加わります。基準に理由は書いていませんが、十項目の最後に定期借地権等が置かれているのは、更新の無い借地権では期間の終わり方が価格を直接左右するためと考えられます。勘案事項(イ)が「借地権の態様及び建物の残存耐用年数」と態様と建物の寿命を一組にしているのも、借地権が実質いつまで続くかを建物の寿命と合わせて見るためと読めます。
(イ)借地権の態様及び建物の残存耐用年数
出典: 各論第1章 第1節
実務ではこう使う
現地調査の前に契約書と登記事項証明書を読み、地上権か賃借権か、期間、特約、承諾条項、定期借地権かどうかを一覧にして依頼者に確認します。同じ更地価格でも、堅固建物所有目的で残存期間が長い借地権と、口頭契約で地代が安い非堅固の借地権とでは、比準の事例選択も還元利回りも変わります。一覧は評価書の個別分析にそのまま載せ、採用した割合や利回りの根拠にします。
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