/ 鑑定理論

借地権取引の態様とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

借地権及び底地の鑑定評価で考慮する諸点のうち、借地権がその地域で一般にどのように取引されているかを見る六つの項目です。つまり、有償で創設・継承されるか、地主以外と取引されるか、堅固建物が多いか、借地人側の権利意識が強いか、一時金の授受が慣行化しているか、名義書替料をどちらが負担するかを、地域の慣行として...

借地権取引の態様とは

借地権の評価を頼まれた鑑定士が最初にすることの一つは、その街の不動産業者に「このあたりでは借地権はどう売り買いされていますか」と聞いて回ることです。地主に断れば第三者にも売れる街なのか、地主に買い戻してもらうのが普通の街なのか、承諾料は買主が払うのか売主が払うのか、といった答えが返ってきます。基準はこの聞き取りの項目を六つに整理し、借地権取引の態様と呼んでいます。借地権と底地の価格は密接に関連し合っているので、この六項目を含む諸点を十分に考慮して相互に比較検討せよ、というのが基準の定めです。

借地権取引の態様の図解:その街の不動産業者に、借地権の取引の習わしを六つの項目で聞き取る。

その街の不動産業者に、借地権の取引の習わしを六つの項目で聞き取る。

六つの項目は、どれも地域の慣行を問います

六つの項目は、借地権が一般に有償で創設され又は継承される地域か、借地権の取引が一般に借地権設定者以外の者を対象として行われる地域か、堅固建物の所有を目的とする借地権の多い地域か、借地権に対する権利意識について借地権者側が強い地域か、一時金の授受が慣行化している地域か、借地権の譲渡に当たって名義書替料を一般に譲受人又は譲渡人のいずれが負担する地域か、です。どの項目も「地域であるか否か」で終わり、一つの契約ではなく街の習わしを問うています。基準は項目を並べるだけですが、地主以外と取引される街では借地権が独り立ちした財産として扱われ、権利意識の強い街では更地価格の多くが借地人に帰属する、と読めます。慣行が違えば借地権と底地の価格の分け方が違うので、六つをまとめて地域の慣行として確かめる定めになっています。

名義書替料をどちらが負担する地域かも、価格に効きます

六つ目の項目は、借地権を譲渡するときに地主へ払う名義書替料を、買う側と売る側のどちらが負担する街か、です。買主が負担する街では、買主はその分を差し引いた値段でしか借地権を買わないので、借地権の取引価格は低めに形成されます。売主が負担する街ではその逆です。基準は項目を挙げるだけで理由は書いていませんが、同じ借地権でも負担者の慣行で取引価格の読み方が変わるため、と考えられます。

取引の態様は地域を見て、借地権の態様は一つの契約を見ます

基準は借地権取引の態様(六項目)のすぐ後に、借地権の態様(十項目)を置いています。前者は街の慣行、後者は地上権か賃借権か、書面か口頭か、定期借地権かといった一つひとつの契約の中身です。同じ「態様」の語ですが、見る対象が地域か契約かで分かれています。基準は二つを並べて置くだけですが、街の慣行で価格の大枠が決まり、契約の中身で個々の借地権の値段が上下する、という二段の関係と読めます。

借地権取引の態様の図解:街の慣行を見るのが取引の態様、一通の契約の中身を見るのが借地権の態様。

街の慣行を見るのが取引の態様、一通の契約の中身を見るのが借地権の態様。

借地権及び底地の鑑定評価に当たっては、借地権の価格と底地の価格とは密接に関連し合っているので、以下に述べる諸点を十分に考慮して相互に比較検討すべきである。

出典: 各論第1章 第1節

実務ではこう使う

評価の前に、地域の不動産業者や精通者への聞き取り、借地権付建物の売買事例の収集で、承諾料の相場と負担者、権利金の授受が一般的かどうかを確かめます。地主が強い地域では借地権価格が抑えられ、借地人が強い地域では更地価格の大半が借地権に帰属する、といった違いが評価額に現れます。聞き取りの結果は評価書の地域分析に六項目の順で整理して書きます。

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