借地権の取引慣行とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
宅地の賃貸借等及び借地権取引の慣行の有無とその成熟の程度のことで、都市によって異なり、同一都市内でも地域によって異なることがあります。つまり、その街で借地権が値段の付くものとして売り買いされているか、それがどれだけ根づいているかです。
借地権の取引慣行とは
同じ「他人の土地を借りて家を建てている」状態でも、東京の下町では借地権そのものに何千万円という値段が付いて売り買いされるのに、地方の町では地主に断って家ごと譲るだけで、借地権の値段はほとんど意識されません。街ごとに借地権の売り買いの習わしが違い、その習わしがどれだけ根づいているかも違います。基準はこれを、宅地の賃貸借等及び借地権取引の慣行の有無とその成熟の程度と呼び、都市によって異なり、同一都市内でも地域によって異なることがある、と定めています。借地権の鑑定評価は、この慣行の有無と成熟の程度によって手法を変えるので、評価はまず対象地の街の慣行を確かめるところから始まります。

同じ都市の中でも、借地権が単独で売買される地域と、値段がほとんど意識されない地域がある。
慣行の有無と成熟の程度は、都市ごと地域ごとに違います
借地権の慣行は全国一律ではありません。大都市の古くからの市街地では借地権の売買が当たり前で、借地権の値段が更地の何割という相場まで固まっています。同じ都市でも郊外の新しい住宅地では借地そのものが少なく、慣行が育っていないことがあります。基準はこれを「都市によって異なり、同一都市内においても地域によって異なることもある」とだけ定めています。これは、評価の前に対象不動産が属する地域の借地権市場の特性を十分に把握せよ、と読める定め方です。
単独で取引される地域と、建物と一緒だけの地域があります
借地権があるからといって、借地権の価格があるとは限りません。基準は、借地権が単独で取引の対象となっている都市又は地域と、単独で取引の対象となることはないが建物の取引に随伴して取引の対象となっている都市又は地域がある、と分けています。随伴するのは建物の取引です。借地上の家を売るとき、家の代金の中に借地権の分が上乗せされて初めて借地権の値段が目に見える、というのが後者の地域で、留意事項はこれを「借地上の建物と一体となった場合に借地権の価格が顕在化する場合がある」と表しています。基準が分けているのはあくまで都市又は地域としての慣行であって、単独で取引される地域でも、実際の売買で家と一緒に借地権が動くことまで否定してはいないと読めます。

家と一緒に売られて、初めて借地権の値段が顔を出す。
成熟の程度で手法が変わるのは借地権で、底地は変わりません
借地権の鑑定評価は、取引慣行の成熟の程度の高い地域と低い地域で、関連づける価格の組み合わせが違います。高い地域では借地権の取引事例を使った比準価格や借地権割合による価格が使えますが、低い地域では事例が乏しいので、収益価格、賃料差額を還元した価格、更地又は建付地の価格から底地価格を控除した価格を関連づけます。一方、底地の鑑定評価額は、実際支払賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格と比準価格を関連づけて決定する、という一つの定めだけで、慣行の成熟の程度による書き分けはありません。地主に入る地代は慣行が無い地域でも入るので、底地の側は慣行に左右されにくいと読めます。
② 借地権の存在は、必ずしも借地権の価格の存在を意味するものではなく、また、借地権取引の慣行について、借地権が単独で取引の対象となっている都市又は地域と、単独で取引の対象となることはないが建物の取引に随伴して取引の対象となっている都市又は地域とがあること。
出典: 各論第1章 第1節
実務ではこう使う
評価の初めに、対象地の属する地域で借地権付建物の売買事例がどれだけあるか、路線価図や取引で借地権割合が当たり前に使われているか、地主の承諾料の水準がどうかを調べ、慣行の有無と成熟の程度を判定します。借地権が単独で売買される大都市の既成市街地と、借地権の値段がほとんど意識されない地域とでは、同じ契約書でも評価の道筋が変わります。判定の根拠は評価書の地域分析に書き、どちらの手法を採ったかにつなげます。
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