賃料差額とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
借地権の付着している宅地の経済価値に即応した適正な賃料と、実際支払賃料との乖離をいいます。つまり、その土地の値打ちなら本来取れるはずの地代と、実際に払っている地代との差です。
賃料差額とは
昭和の頃に月2万円で借りた土地に、今も月2万円の地代で家を建てて住んでいる人がいます。周りの地価は当時の何倍にもなり、今この土地を新たに貸すなら月8万円は取れる、という状況です。このとき本来取れるはずの8万円と、実際に払っている2万円との差の6万円が賃料差額です。借地人はこの差だけ毎月得をしており、それが長く続くほど借地権の値打ちは大きくなります。基準は、この差額と乖離の持続する期間を基礎にして成り立つ経済的利益の現在価値のうち、慣行的に取引の対象となっている部分を、借地権者に帰属する経済的利益の中心の一つに数えています。

土地の値打ちなら取れる地代と、実際に払っている地代との差。
比べる相手は、宅地の経済価値に即応した適正な賃料です
賃料差額は、借地権の付着している宅地の経済価値に即応した適正な賃料と、実際支払賃料との乖離です。基準が比べる相手にしているのは「その土地の値打ちにふさわしい賃料」であって、近所で実際に払われている地代の平均や、地主が払う固定資産税ではないと読めます。基準に理由は書いていませんが、地価が上がったのに地代が据え置かれると差額は自然に広がり、権利金を払って借りた場合には当初から差額が生じていると考えられます。
還元するのは、取引の対象となっている部分だけです
借地権の鑑定評価で関連づける価格の一つは、当該借地権の設定契約に基づく賃料差額のうち取引の対象となっている部分を還元して得た価格です。差額の全部が借地権の値段として市場で認められるわけではなく、どこまでが認められるかはその地域の取引慣行で決まります。だから基準は、差額そのものではなく「取引の対象となっている部分」を還元すると書いています。

差額の全部ではなく、街で取引の対象になっている部分だけを還元する。
成熟の高低にかかわらず、関連づける価格に入ります
借地権の取引慣行の成熟の程度の高い地域では、借地権及び借地権を含む複合不動産の取引事例に基づく比準価格、土地残余法による収益価格、賃料差額のうち取引の対象となっている部分を還元して得た価格、借地権割合により求めた価格の四つを関連づけます。成熟の程度の低い地域では、土地残余法による収益価格、賃料差額のうち取引の対象となっている部分を還元して得た価格、更地又は建付地としての価格から底地価格を控除して得た価格の三つを関連づけます。土地残余法による収益価格と賃料差額に基づく価格は両方に共通で、市場の慣行に頼らず契約と土地の収益力から求められるので、成熟の程度にかかわらず試算価格になると読めます。

成熟の高い街でも低い街でも、賃料差額に基づく価格は関連づける価格に入る。
一時金の運用益や前払地代も、差額の把握で考慮します
留意事項は、借地権及び底地の鑑定評価では、預り金的性格を有する一時金についてはその運用益を、前払地代に相当する一時金については各期の前払地代及び運用益を考慮するとしています。名目の地代が安く見えても、地主が大きな保証金を預かって運用していたり、地代を前払いで受け取っていたりすれば、借地人の実質的な負担はその分大きくなります。留意事項はどの場面で考慮するかまでは書いていませんが、実際支払賃料の実質を見るときに一時金の分を織り込むものと読めます。
イ 借地権の付着している宅地の経済価値に即応した適正な賃料と実際支払賃料との乖離(以下「賃料差額」という。)及びその乖離の持続する期間を基礎にして成り立つ経済的利益の現在価値のうち、慣行的に取引の対象となっている部分
出典: 各論第1章 第1節
実務ではこう使う
評価では、対象地の更地価格に地域の地代の利回りを当てて適正な賃料を試算し、契約書の実際支払地代との差を求めます。そのうえで、その地域で借地権の売買価格が差額のどの程度を織り込んでいるかを取引事例から読み取り、還元する部分を決めます。地代が長年据え置かれた旧法の借地では差額が大きく、借地権の価格の主な源泉になっています。
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