/ 鑑定理論

保証金とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

借地権者から借地権設定者へ支払われる一時金のうち、預り金的性格を有するもので、通常この名で呼ばれます。つまり、契約が終われば地主から借地人へ返される預け金です。

保証金とは

アパートを借りるとき、家賃とは別に敷金を預け、出ていくときに返してもらいます。土地を借りて建物を建てるときも同じで、借地人が地主に預ける金があり、通常は保証金と呼ばれます。留意事項は、借地権者から借地権設定者へ支払われる一時金を、預り金的性格を有し通常保証金と呼ばれるもの、借地権の設定の対価とみなされ通常権利金と呼ばれるもの、借地権の譲渡等の承諾を得るための一時金の三つに整理しています。保証金はその一つ目で、名前ではなく「あとで返す預り金」という性格で決まります。

保証金の図解:地主に渡る三つの一時金のうち、契約が終われば返す預り金が保証金。

地主に渡る三つの一時金のうち、契約が終われば返す預り金が保証金。

一時金は名前ではなく、性格で三つに分けます

留意事項が挙げる三つの一時金は、返ってくる預り金(保証金)、借りる権利を手に入れる対価(権利金)、借地権を人に譲るときの承諾の対価(譲渡等の承諾を得るための一時金)で、金の性格がまったく違います。これらのほか、定期借地権の契約には、賃料の前払的性格を有し通常前払地代と呼ばれるものがあります。契約書に「保証金」と書いてあっても、実際には返さない約束なら預り金的性格とは言えません。だから留意事項は、一時金が借地権価格又は底地価格を構成するか否かは、名称の如何を問わず、一時金の性格と社会的慣行等を考察して個別に判定する、と定めています。

返す金だから、考慮するのは運用益だけです

留意事項は、借地権及び底地の鑑定評価においては、預り金的性格を有する一時金についてはその運用益を考慮する、と定めています。保証金は契約が終われば借地人に返るので、地主の手元に残るのは、預かっている間にその金を運用して得られる利益だけです。返さない一時金と違って、年々費用に配分していく償却額は出てきません。同じ留意事項は、前払地代に相当する一時金については各期の前払地代及び運用益を考慮する、と並べて定めており、返す金と、地代の前払いとで扱いを分けています。

保証金の図解:保証金は運用益だけ、前払地代は各期の地代と運用益。

保証金は運用益だけ、前払地代は各期の地代と運用益。

借地権付建物の評価でも、授受された一時金として勘案します

借地権付建物で建物を借地権者が使用しているものの鑑定評価額は、積算価格、比準価格及び収益価格を関連づけて決定し、その際に借地権の勘案事項(ア)から(キ)までを総合的に勘案します。勘案事項の(エ)は「契約に当たって授受された一時金の額及びこれに関する契約条件」で、預り金的性格の一時金も含みます。基準は一時金の額と契約条件を勘案すると定めるだけですが、借地人から見れば預けている間はその金を自分で使えないので、運用の機会を失った分が借地権の値打ちに影響する、と読めます。返る金だからといって評価から外すわけではありません。

④ 借地権及び底地の鑑定評価においては、預り金的性格を有する一時金についてはその運用益を、前払地代に相当する一時金については各期の前払地代及び運用益を、それぞれ考慮するものとする。

出典: 各論第1章 第1節

実務ではこう使う

事業用の定期借地では、地代の数年分にあたる保証金を無利息で預けている契約が珍しくありません。契約書で返還の時期と条件、承継の有無を確認し、借地権の評価では運用益相当を負担として、底地の評価では運用益相当を収入として織り込みます。売買で買主に返還債務が引き継がれるかどうかも、価格に直結する確認事項です。

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