/ 鑑定理論

前払地代とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

定期借地権に係る賃貸借契約等において授受される、賃料の前払的性格を有する一時金です。つまり、これから何年分かの地代を、契約のときに先にまとめて払ったお金です。

前払地代とは

期間を50年と決めて土地を借りる定期借地権の契約では、地主が「地代の一部を最初にまとめて払ってほしい」と求めることがあります。借地人がそれに応じて払ったお金は、権利の代金でも預け金でもなく、将来の地代の先払いです。留意事項はこれを、一般の一時金の三区分とは別に「これらのほか」として挙げ、前払地代と呼んでいます。先に払った分だけ、月々の地代は低く決められるのがふつうです。

前払地代の図解:これから払う地代を、契約のときに先にまとめて払う。

これから払う地代を、契約のときに先にまとめて払う。

前払地代は、定期借地権の契約に特有の一時金です

留意事項は、借地権者から借地権設定者へ支払われる一時金を、預り金的性格の保証金、設定の対価の権利金、譲渡等の承諾を得るための一時金の三つに分けたうえで、これらのほか、定期借地権に係る賃貸借契約等には賃料の前払的性格を有する前払地代があるとしています。三区分の中ではなく「これらのほか」に置かれているのは、賃料の前払い、つまり性格が地代そのものだからと読めます。基準に理由は書いていませんが、期間が確定していて更新がない定期借地権では、何十年分かの地代を先に受け取る約束がしやすいので、この形の一時金が定期借地権に結び付いていると考えられます。

評価では、各期の前払地代と運用益の両方を考慮します

留意事項は、借地権及び底地の鑑定評価においては、預り金的性格を有する一時金についてはその運用益を、前払地代に相当する一時金については各期の前払地代及び運用益を、それぞれ考慮するとしています。前払地代は将来の地代を先に払ったものなので、各期に割り振った額が名目の地代に加わって、その期の実質的な地代になります。加えて、地主は先に受け取ったお金を運用できるので、その運用益も地主の利益です。保証金は契約の終了で返すお金なので、地主に残るのは預かっている間の運用益だけで、各期に割り振る額はありません。

前払地代の図解:先に受け取った地代を各年に充て、預けている間の運用益も足す。

先に受け取った地代を各年に充て、預けている間の運用益も足す。

借地権価格や底地価格を構成するかは、個別に判定します

一時金が借地権価格又は底地価格を構成するか否かは、その名称の如何を問わず、一時金の性格、社会的慣行等を考察して個別に判定します。前払地代も例外ではなく、地代の先払いという性格と、その地域の慣行を見て、借地権側と底地側のどちらの価格にどう反映するかを決めます。地代を先に受け取っている地主は、期間中に受け取る地代が少ない代わりに、先に受け取った分と運用益を持っているので、底地側にはその形で現れます。

これらのほか、定期借地権に係る賃貸借契約等においては、賃料の前払的性格を有し、通常、前払地代と呼ばれているものがある。

出典: 各論第1章 第1節

実務ではこう使う

事業用定期借地権で店舗用地を貸すとき、30年分の地代のうち一部を前払地代として契約時に一括で受け取る契約があります。評価では契約書で前払地代の総額と各期への充当の方法を確かめ、各期に配分した額を名目の地代に加えて実質的な地代を把握し、先払いによる運用益も織り込みます。底地側では収入として、借地権側では負担として、同じ数字が現れます。

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