試算賃料とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
賃料を求める鑑定評価の各手法の適用により求められた賃料をいい、積算法によるものを積算賃料、賃貸事例比較法によるものを比準賃料、収益分析法によるものを収益賃料と呼びます。つまり、鑑定評価額としての賃料を決める前の、手法ごとの答えです。
試算賃料とは
貸すときの家賃を決めるにも、「土地建物の値段に利回りを掛けて経費を足すといくらか」「近所の似た部屋はいくらで貸されているか」「そこで商売をしたらいくら払えるか」と三つの見方があります。この三つがそれぞれ積算法・賃貸事例比較法・収益分析法で、求めた家賃が試算賃料です。新規賃料の手法はこの三つで、継続賃料(今の契約を続けながら改定する賃料)には差額配分法・利回り法・スライド法・賃貸事例比較法があります。価格でいう試算価格の、賃料の側の言葉です。

積算賃料・比準賃料・収益賃料を出してから、一つの家賃に決める。
新規賃料と継続賃料で、手法の顔ぶれが違います
新規賃料は新しく契約するときの賃料で、基準は対象不動産の経済価値に即応した賃料を価格時点において想定される新規賃料と呼び、積算法・賃貸事例比較法・収益分析法で求めます。継続賃料は今の契約を続けながら改定する賃料なので、現行賃料を前提にする差額配分法・利回り法・スライド法と、賃貸事例比較法で求めます。基準は賃貸事例比較法を両方に挙げているだけですが、市場の賃貸事例は新規でも継続でも比べる材料になるからだと読めます。

新しく貸すときと続けて貸すときで手法が違い、賃貸事例比較法だけ両方にある。
価格の手法である原価法は、賃料の手法にはありません
原価法は再調達原価から減価修正をして価格を求める手法で、積算法は価格時点の基礎価格に期待利回りを乗じ、必要諸経費等を加算して積算賃料を求める手法です。基準は原価方式が再調達に要する原価に着目して価格又は賃料を求めると定めるだけですが、価格を求めるのが原価法、賃料を求めるのが積算法だと読めます。方式としては同じ原価方式に属しますが、手法の名前は価格と賃料で別々です。
試算賃料は、原則として実質賃料で求めます
賃料の鑑定評価は、賃料の算定の期間に対応して実質賃料を求めることが原則です。実質賃料は、賃料の種類を問わず貸主に支払われる全ての経済的対価で、毎月の支払賃料に、敷金や権利金といった一時金の運用益や償却額を合わせたものです。積算法で基礎価格に期待利回りを乗じて必要諸経費等を加えた額も、この実質賃料としての積算賃料です。一時金の授受の条件が付いて支払賃料を求めるよう依頼された場合に、実質賃料とともに、その一部である支払賃料を求めることができます。

試算賃料は実質賃料で出す。一時金の条件付きの依頼なら、その一部の支払賃料も。
不動産の賃料を求める鑑定評価の手法は、新規賃料にあっては積算法、賃貸事例比較法、収益分析法等があり、継続賃料にあっては差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法等がある。
出典: 総論第7章 第2節
実務ではこう使う
家賃や地代の評価書では、積算賃料と比準賃料を並べ、両者を関連づけて鑑定評価額を決めます。一時金の授受がある契約では、実質賃料としての試算賃料を示したうえで、依頼に応じて支払賃料も併記します。継続賃料の依頼では、現行賃料と直近合意時点を確かめてから四つの手法を適用します。
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