耐用年数に基づく方法とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
対象不動産の価格時点における経過年数及び経済的残存耐用年数の和として把握される耐用年数を基礎として、減価額を把握する方法です。つまり、建ててから今までの年数と、これから効用が続く年数を足した全体を耐用年数とし、そのうち使った年数の割合に応じて値打ちが減ったとみて減価額を出します。
耐用年数に基づく方法とは
築20年の木造アパートの評価で、今この建物を新しく建てたらいくらか(再調達原価)を出したあと、古びた分をいくら引くかを考えます。建ててから20年がたち、手入れの様子や周りの需要からみて、あと20年は貸していけそうだとします。すると全体で40年使える建物のうち半分を使い切ったので、再調達原価の半分ほどが減価額だ、と年数の割合で見るのがこの方法です。傷んだ箇所を一つずつ見て減価額を積み上げる観察減価法とは、年数から出発する点が違います。基準は、この二つを併用して減価額を求めるよう定めています。

使える年数のうち、使った年数の分だけ減価する。
耐用年数は、経過年数と経済的残存耐用年数の和として把握します
経過年数は、建ててから価格時点までにたった年数です。経済的残存耐用年数は、価格時点からあと何年、その建物の効用が十分に続くと考えられるかという年数で、物理的に建っていられる年数ではありません。この二つを足した年数が耐用年数で、使った割合を出すときの分母になります。基準は、この方法の適用に当たり経済的残存耐用年数を特に重視すべきものとしています。経過年数は建築の記録からほぼ決まるのに対し、残りの年数は鑑定士の見立てで大きく動き、それが減価額をそのまま左右するためと考えられます。
観察減価法と併用して、互いの短所を補います
同じ築20年の建物でも、手入れが行き届いた建物とほとんど放っておかれた建物では、値打ちの減り方は同じではありません。年数だけから減価額を出すと、この差が表に出ません。一方で、建物を見て回る観察減価法は、外から見えない劣化や、年月そのものによる古さを見落とすおそれがあります。基準は二つの方法を併用するとだけ定めていますが、それぞれの弱いところを相手が補う関係にあると読めます。

年数の方法と観察の方法は、併用して互いの短所を補う。
定額法か定率法か、部分ごとの扱いも、用途や利用状況で決めます
耐用年数に基づく方法には定額法、定率法等があり、どれを用いるかは対象不動産の用途や利用状況に即して決めます。定額法は一般に毎年同じ額ずつ、定率法は初めの年ほど大きく減るとみる計算で、早く陳腐化する設備と長く均等に働く躯体では合う計算が違うためと考えられます。木造の既存部分に鉄骨造の事務所を増築したように、分別できる組成部分ごとに経過年数や経済的残存耐用年数が異なるときも、それらをどう判断して用いるか、耐用年数が満了したときの残材価額をどう見るかを、用途や利用状況に即して決めます。留意事項は、建物の増改築・修繕・模様替等が耐用年数と減価の要因に与える影響の程度に留意するよう求めています。

木造の既存部分と鉄骨造の増築部分は、年数を分けて見る。
耐用年数に基づく方法は、対象不動産の価格時点における経過年数及び経済的残存耐用年数の和として把握される耐用年数を基礎として減価額を把握する方法である。
出典: 総論第7章 第1節
実務ではこう使う
評価書では、構造ごとの標準的な耐用年数を土台に、維持管理の状態や用途を踏まえて経済的残存耐用年数を査定し、経過年数との合計を分母にした減価率を示します。増築部分や大規模修繕を施した部分は別枠にして、それぞれの経過年数と残存年数を書き分けます。観察減価法で確かめた傷みや陳腐化は、この減価率に上乗せ又は減額して反映します。
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