/ 鑑定理論

減価の要因とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

減価修正で減価額を求めるときに着目する原因で、基準は物理的要因、機能的要因及び経済的要因の三つに分けています。つまり、建物の体が傷んだのか、中身が時代に合わなくなったのか、建物の外の街や市場が変わったのかで分けます。

減価の要因とは

同じ築25年のマンションでも、値段が下がった理由は一つではありません。外壁がひび割れて雨漏りしているのは建物の体の傷み、エレベーターが無くて今の入居者に敬遠されるのは中身の古さ、駅前の商店街がシャッター街になって街ごと人気が落ちたのは建物の外の事情です。この三つを基準はそれぞれ物理的要因、機能的要因、経済的要因と呼び、まとめて減価の要因と呼びます。原価法の減価修正は、この要因に着目して減価額を求めます。

減価の要因の図解:体の傷み、中身の古さ、外の事情。同じ建物でも減る理由は三つ。

体の傷み、中身の古さ、外の事情。同じ建物でも減る理由は三つ。

三つの要因は、減価の原因の在りかで分けています

基準は三つを列挙するだけで、分け方の理由は書いていませんが、原因がどこにあるかで分けていると読めます。物理的要因は、使用による摩滅及び破損、時の経過や自然的作用による老朽化、偶発的な損傷という、建物の体そのものの傷みです。機能的要因は、建物と敷地との不適応、設計の不良、型式の旧式化、設備の不足及びその能率の低下という機能的陳腐化で、壊れていなくても今の使い方に合わないことです。経済的要因は、近隣地域の衰退、付近の環境との不適合、代替・競争関係にある不動産との比較における市場性の減退という経済的不適応で、建物の外の街や市場の側の変化です。体・中身・外と場所が違うので、直し方も、傷みなら補修、陳腐化なら改修、外の事情なら建物では直せない、と変わります。

三つの要因は独立ではなく、相互に関連し合います

基準は、三つの要因がそれぞれ独立しているものではなく、相互に関連し、影響を与え合いながら作用していることに留意するよう求めています。屋上の防水が切れて雨漏りすれば(物理的)、その下の設備が使えなくなり(機能的)、部屋が埋まらず市場で選ばれなくなる(経済的)、という具合に一つの傷みが次の減価を呼びます。分類は整理のためであって、実際の建物では三つが絡み合って一つの目減りを作っています。だから減価額を求めるときも、要因ごとに切り分けつつ、同じ目減りを二度数えないよう全体を見ます。

減価の要因の図解:雨漏りが設備を止め、部屋が埋まらなくなる。三つはつながっている。

雨漏りが設備を止め、部屋が埋まらなくなる。三つはつながっている。

減価額は要因に基づいて求め、再調達原価から控除します

減価修正の目的は、減価の要因に基づき発生した減価額を、対象不動産の再調達原価から控除して、価格時点の適正な積算価格を求めることです。要因は減価額を「どこから来たか」で説明する役目を持ち、額そのものは耐用年数に基づく方法と観察減価法を併用して求めます。経済的残存耐用年数を判定するときも、物理的要因と機能的要因に照らした劣化の程度、経済的要因に照らした市場競争力の程度、と三つの要因が土台になります。

減価の要因は、物理的要因、機能的要因及び経済的要因に分けられる。これらの要因は、それぞれ独立しているものではなく、相互に関連し、影響を与え合いながら作用していることに留意しなければならない。

出典: 総論第7章 第1節

実務ではこう使う

現地調査では、外壁のひび割れや設備の劣化(物理的)、間取りや天井高の旧式化・エレベーターの不足(機能的)、周辺の空室率上昇や競合物件の出現(経済的)を分けて記録します。評価書では三つの要因ごとに観察した事実を書き、重なりがあれば一つの要因にまとめて二重の減価を避けます。

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