減価の経済的要因とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
不動産の経済的不適応、すなわち近隣地域の衰退、不動産とその付近の環境との不適合、代替・競争等の関係にある不動産や付近の不動産との比較における市場性の減退等という、減価の要因の一つです。つまり、建物の外にある街や市場の側の変化による減価の原因です。
減価の経済的要因とは
手入れも設備も申し分ないマンションなのに、値段が下がることがあります。最寄り駅前の商店街がシャッター街になった、周りが住宅街に変わったのに自分だけ古い町工場のままだ、向かいに新築の大規模マンションが建って買い手がそちらに流れた、といった場合です。どれも建物の中をいくら直しても解決しない、建物の外の事情です。基準はこれを経済的要因と呼び、経済的不適応と言い換えています。

建物は同じでも、周りの街が変われば値段は下がる。
経済的要因は、建物の外側で起きる経済的不適応です
基準は経済的要因を「不動産の経済的不適応」と言い切り、その中身として近隣地域の衰退、不動産とその付近の環境との不適合、代替・競争等の関係にある不動産又は付近の不動産との比較における市場性の減退等を挙げています。近隣地域の衰退は街そのものの人気や活気が落ちること、環境との不適合はその不動産の使い方が周りとなじまなくなること、市場性の減退は競争相手と比べて選ばれにくくなることです。物理的要因が建物の体の傷み、機能的要因が中身の古さなのに対し、経済的要因は建物の外の街や市場の側で起きるので、所有者が建物を直しても消えません。
環境との不適合は、適合の原則で見ます
総論第4章の適合の原則は、不動産の収益性や快適性が最高度に発揮されるには、その不動産が環境に適合していることが必要だと定めています。住宅街に取り残された町工場のように、建物と周りの環境がなじまなくなれば、その不動産は本来の力を出せず、価値が目減りします。第7章に直接の対応は書かれていませんが、環境との不適合による経済的要因の減価は、この適合の原則を活用して捉えると整理できます。敷地の中の釣り合いを見る均衡の原則が機能的要因と対応するのと、ちょうど対になります。

工場に囲まれて残った一軒の住宅。建物は無事でも、環境と合わなくなった分は減価。
市場性の減退も、減価修正で考慮します
留意事項は、耐用年数に基づく方法と観察減価法を適用するときに、対象不動産が有する市場性を踏まえるよう求めています。観察減価法でも、個別分析の結果を踏まえた代替・競争関係にある不動産と比べた優劣及び競争力の程度を適切に反映すべきものとされています。超高層の大規模マンションに囲まれた小規模な低層マンションのように、周りとの比較で選ばれにくくなっているなら、建物自体に傷みが無くても、その市場性の減退は経済的要因による減価として減価額に入れます。

タワーに囲まれた小さな低層マンション。市場性の減退も減価に入れる。
経済的要因としては、不動産の経済的不適応、すなわち、近隣地域の衰退、不動産とその付近の環境との不適合、不動産と代替、競争等の関係にある不動産又は付近の不動産との比較における市場性の減退等があげられる。
出典: 総論第7章 第1節
実務ではこう使う
現地では周辺の空室率や賃料水準の推移、競合物件の新築状況、用途地域の変更などを調べ、対象建物が市場で劣後している程度を経済的要因の減価として計上します。土地と建物を合わせた一体としての市場性の減退は、それぞれの減価修正のあとに合計額で検討し、建物で引いた要因と重複しないよう根拠を分けます。
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