減価の物理的要因とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
不動産を使用することによって生ずる摩滅及び破損、時の経過又は自然的作用によって生ずる老朽化、並びに偶発的な損傷という、減価の要因の一つです。つまり、建物の体そのものが傷むことによる減価の原因です。
減価の物理的要因とは
長く住んだ家を思い浮かべてください。玄関の床は靴で擦り減り、雨どいは年月で錆び、去年の台風では屋根の一部が飛びました。どれも建物の体そのものに起きた傷みで、直すには修理や交換が要ります。基準はこの傷みを、使うことで生じる摩滅及び破損、時の経過や自然的作用で生じる老朽化、偶発的な損傷の三つに整理し、減価の物理的要因と呼びます。三つある減価の要因のうち、一番目に見えやすい要因です。

使ってすり減る、年月で朽ちる、災害で壊れる。建物の体に起きる三つの傷み。
物理的要因は、使用・時の経過・偶発の三つの原因で起きます
基準は物理的要因として三つを挙げ、それぞれに原因を添えています。摩滅及び破損は「使用することによって」生じ、床や扉のように毎日使う部分がすり減ったり壊れたりすることです。老朽化は「時の経過又は自然的作用によって」生じ、使っていなくても年月や雨風、日差しで材料が弱ることです。偶発的な損傷は、台風・地震・火災のように、いつ起きるか分からない出来事で受けた傷です。原因が三つに分かれているので、同じ「傷み」でも、使い方を変えれば減るもの、時間が経てば進むもの、運で決まるものが混じっています。
壊れていなくても古いのは、物理ではなく機能的要因です
物理的要因と混ざりやすいのが機能的要因です。機能的要因は、建物と敷地との不適応、設計の不良、型式の旧式化、設備の不足及びその能率の低下という機能的陳腐化で、壊れてはいないが今の使い方に合わないことです。物理的要因は建物の体が傷むこと、機能的要因は体は無事でも中身が古いこと、経済的要因は建物の外の街や市場が変わることで、原因の在りかが違います。三つは相互に関連しますが、基準がどの語をどの要因に挙げているかは固定です。
同じ築年数でも、維持管理の状態で傷みは違います
物理的要因による減価は、年数だけでは決まりません。同じ築30年でも、外壁を塗り替え屋根を直してきた家と、何もしてこなかった家では、傷みの程度がまるで違います。基準も年数だけを見る書き方はしておらず、経済的残存耐用年数は物理的要因と機能的要因に照らした劣化の程度に応じて判定し、観察減価法では維持管理の状態や補修の状況を調べて減価額を直接求めると定めています。留意事項が、増改築・修繕・模様替等の実施が耐用年数や減価の要因に与える影響に留意するよう求めているのも、同じ考え方と読めます。

同じ築30年でも、修繕の記録が違えば傷みの程度は違う。
物理的要因としては、不動産を使用することによって生ずる摩滅及び破損、時の経過又は自然的作用によって生ずる老朽化並びに偶発的な損傷があげられる。
出典: 総論第7章 第1節
実務ではこう使う
現地では外壁の亀裂、屋上防水の劣化、配管の腐食、設備機器の耐用年数超過などを写真と築年数で記録します。維持管理が良い建物は同じ築年数でも物理的な減価が小さいので、耐用年数に基づく方法で出した減価率を観察減価法で調整します。台風や地震の被害があれば、修理済みかどうかも確かめます。
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