減価の機能的要因とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
不動産の機能的陳腐化、すなわち建物と敷地との不適応、設計の不良、型式の旧式化、設備の不足及びその能率の低下等という、減価の要因の一つです。つまり、壊れてはいないが今の使い方に合わなくなったことによる減価の原因です。
減価の機能的要因とは
手入れの行き届いた築35年の家でも、若い家族が内見に来ると首をかしげることがあります。トイレは和式、洗濯機置き場は屋外、台所は一人がやっと立てる幅、コンセントは各部屋に一つだけ。どこも壊れていないのに、今の暮らし方に合わないので、そのままでは選ばれません。この「機能が時代に取り残された」分の減価の原因を、基準は機能的要因と呼び、機能的陳腐化と言い換えています。

壊れてはいないのに、今の暮らしに合わない。それが機能的陳腐化。
機能的要因は、壊れていなくても今に合わない陳腐化です
基準は機能的要因を「不動産の機能的陳腐化」と言い切り、その中身として建物と敷地との不適応、設計の不良、型式の旧式化、設備の不足及びその能率の低下等を挙げています。陳腐化とは、物としては使えるのに、求められる働きに追いつかなくなることです。設計の不良は間取りや動線のまずさ、型式の旧式化は建物のつくりそのものが古い様式であること、設備の不足及びその能率の低下は、必要な設備が無いことと、あっても働きが落ちていることです。物理的要因が建物の体の傷みなのに対し、機能的要因は体は無事でも中身が今に合わないことで、原因の在りかが違います。
建物と敷地との不適応は、均衡の原則で見ます
列挙の先頭にある建物と敷地との不適応は、敷地と建物の組合せが釣り合っていないことです。敷地いっぱいに建物を建てたため駐車場も庭も取れず、車を持つ買い手に選ばれない家は、建物だけを見れば新しくても、敷地との組合せで価値を落としています。総論第4章の均衡の原則は、不動産の収益性や快適性が最高度に発揮されるには構成要素の組合せが均衡を得ていることが必要だと定めており、この釣り合いの崩れを減価として捉えるのが機能的要因の減価です。第7章にこの対応は書かれていませんが、機能的要因に着目して減価額を求める作業は均衡の原則を活用している、と整理できます。

敷地いっぱいの建物で駐車場が取れない。敷地との釣り合いの崩れ。
選ばれなくなること自体は、経済的要因に入ります
設備が足りない建物は、結果として市場で選ばれにくくなります。ただ、基準は「代替、競争等の関係にある不動産又は付近の不動産との比較における市場性の減退」を経済的要因の側に挙げています。中身が古いという原因は機能的要因、その建物が市場で相対的に負けているという結果は経済的要因、と原因と結果で層が分かれているためです。二つは相互に関連しますが、どの語をどの要因に挙げるかは基準で固定されています。
機能的要因としては、不動産の機能的陳腐化、すなわち、建物と敷地との不適応、設計の不良、型式の旧式化、設備の不足及びその能率の低下等があげられる。
出典: 総論第7章 第1節
実務ではこう使う
オフィスビルなら天井高や床荷重、OAフロアの有無、エレベーターの台数を同時期の競合ビルと比べ、劣る点を機能的な減価として計上します。改修で回復できる項目は改修費用との見合いで減価額を決め、回復できない設計上の欠点は残存耐用年数の短縮や観察減価法で反映します。
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