/ 鑑定理論

建物及びその敷地の同一需給圏とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

建物とその敷地を一体で評価するときの同一需給圏で、一般に当該敷地の用途に応じた同一需給圏と一致する傾向があります。つまり、まず土地の使いみちで圏域を決め、建物込みで見た用途、規模、品等によって買い手の集まる範囲が違うときは、その範囲に合わせて圏域を変えます。

建物及びその敷地の同一需給圏とは

住宅街の中古の一戸建てを売りに出すと、見に来るのは、その辺りで家を探している家族です。土地だけを売るときと同じ人たちが買い手なので、圏域も土地と同じでかまいません。ところが郊外の大型の物流倉庫になると、見に来るのは地元の人ではなく、東京や大阪に本社のある物流会社や投資家で、全国の倉庫を比べています。建物込みで見たときに買い手が別の人たちになるなら、比べる相手の範囲、つまり同一需給圏も土地のものとは変わります。

建物及びその敷地の同一需給圏の図解:まず敷地の用途で圏域を決め、建物込みの買い手が違えば範囲を変える。

まず敷地の用途で圏域を決め、建物込みの買い手が違えば範囲を変える。

原則は、敷地の用途に応じた同一需給圏と一致します

基準は、建物及びその敷地の同一需給圏は一般に当該敷地の用途に応じた同一需給圏と一致する傾向がある、と原則を置いています。理由は書いていませんが、建物は普通その敷地の用途に合わせて建てられ、住宅地の上には家が、商業地の上には店やビルが建つので、建物込みの買い手も土地の買い手とおおむね重なるためと考えられます。住宅地の戸建てなら住宅地の圏域、つまり都心への通勤可能な範囲が出発点です。

一体で見た用途、規模、品等で買い手の範囲が変わります

同一需給圏は、不動産の種類、性格及び規模に応じた需要者の選好性によって範囲を異にします。建物と敷地を一体で見たとき、大型の物流施設、広い範囲から客を集めるホテル、高級な賃貸マンションのように、その用途、規模、品等のために買い手が土地の買い手と別の人たちになることがあります。このとき、代替関係にある不動産の存する範囲が敷地の用途で決めた範囲と異なるので、同一需給圏も一致しない場合がある、と基準は例外を認めています。土地のときは通勤圏だった圏域が、建物込みでは全国の投資家が比べる範囲に広がる、といったことが起きます。

建物及びその敷地の同一需給圏の図解:中古の戸建ては近所の家族が、大型倉庫は全国の物流会社が買いに来る。

中古の戸建ては近所の家族が、大型倉庫は全国の物流会社が買いに来る。

種別の目安を土地に当てはめてから、建物を含めて見直します

同一需給圏の判定の目安は、宅地、農地、林地、見込地と土地の種別ごとに並び、最後に建物及びその敷地が置かれています。目安のうち建物を含むのはこれだけです。基準は手順までは書いていませんが、まず敷地の種別に応じた目安で圏域を決め、次に建物込みの一体としての性格で買い手が変わらないかを確かめて、必要なら圏域を取り直す、という順で読めます。総論第7章で取引事例を選ぶときも、近隣地域又は同一需給圏内の類似地域など、こうして決めた圏域を前提に選びます。

同一需給圏は、一般に当該敷地の用途に応じた同一需給圏と一致する傾向があるが、当該建物及びその敷地一体としての用途、規模、品等等によっては代替関係にある不動産の存する範囲が異なるために当該敷地の用途に応じた同一需給圏の範囲と一致しない場合がある。

出典: 総論第6章 第1節

実務ではこう使う

郊外の大型物流倉庫を評価するときは、敷地の用途(工業地)で決めた圏域より、建物込みの買い手である全国の物流会社や投資家が比べる範囲の方が広いので、同一需給圏を全国の物流施設の市場として取り直します。住宅地の中古戸建てなら、敷地の用途で決めた通勤圏の圏域をそのまま使います。評価書には、一体としての用途、規模、品等のどこを見て圏域を変えたかを書きます。

関連用語

#不動産鑑定士試験 #建物及びその敷地の同一需給圏 #鑑定理論

アプリで学習

基準ビューワー × 穴埋めドリルで効率的に学ぶ

鑑定評価基準の原文をスマホで閲覧しながら、穴埋めドリルや論証トレーニングで知識を定着。 短答式・論文式どちらの対策にも対応しています。

年額プランなら1日わずか27円

基準ビューワーを見る 無料でアカウント作成
App Storeからダウンロード Google Playで手に入れよう
穴埋めドリル画面
用語集に戻る