手付の額の制限とは?宅地建物取引業法での意味を図でわかりやすく解説
宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約の締結に際して、業者でない買主から代金の額の10分の2を超える額の手付を受領できないという制限です(39条1項)。つまり、受け取ってよい手付は代金の2割までで、しかも受け取った手付は必ず解約手付として扱われます。
手付の額の制限とは
3,000万円の家を買う契約を結ぶ日、買主は代金の一部を手付として先に払います。手付は、途中で契約をやめたいときに放棄すれば解除できるお金でもあります。ところが手付が大きすぎると、放棄する額が重すぎて、買主は解除したくてもできなくなります。そこで宅地建物取引業法は、業者が自ら売主となる売買では、代金の額の10分の2、この例なら600万円を超える手付を受け取れないと定めました。受け取った手付はどんな名目でも解約手付になり、買主は放棄して、業者は倍額を現実に提供して契約を解除できます。買主が業者なら適用されません(78条2項)。

代金3,000万円なら、手付は600万円まで。
上限は代金の10分の2で、買主が同意しても超えられません
39条1項は、業者が自ら売主となる売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2を超える額の手付を「受領することができない」と定めています。買主が「3割払ってもよい」と申し出ても、受け取れるのは2割までです。買主を守るための上限なので、守られる側の同意で外せる仕組みにはなっていません。損害賠償額の予定の制限(38条)も同じ2割ですが、別の条文の別の枠で、手付とは合算しません。
手付は解約手付になり、業者は倍額を現実に提供して解除します
39条2項は、手付がいかなる性質のものであっても、買主はその手付を放棄して、業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除ができると定めています。「違約手付」と名付けても解約手付の働きを失いません。業者が解除するときは、倍額を払う意思を口で伝えるだけでは足りず、実際にお金を用意して差し出す必要があります。相手方が契約の履行に着手した後は、この解除はできません。これより買主に不利な特約は無効です(39条3項)。

買主は手付を放棄して、業者は倍額を差し出して解除する。
買主が業者なら上限は無く、手付の貸付けは相手を問わず禁止です
78条2項は、37条の2から43条までを業者相互間の取引に適用しないと定めていて、39条もその中です。買主が宅地建物取引業者なら、代金の2割を超える手付を受け取っても違反になりません。一方で、手付を貸し付けたり分割にしたりして契約を誘う行為は47条3号が禁じていて、こちらは業務上の禁止行為なので、額が2割以内でも、相手が業者でも許されません。

買主が業者なら上限なし。手付の貸付けはどんな相手でも禁止。
宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない。/宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
出典: 宅地建物取引業法 39条1項・2項
実務ではこう使う
実務では代金の5%から10%程度の手付が一般的で、上限の2割に達する契約は多くありません。業者が自ら売主のときは、手付金等の保全措置(41条・41条の2)も別に掛かるので、契約書には手付の額と保全の方法が並んで書かれます。鑑定評価で取引事例の契約条件を確かめるとき、手付の額と解約の条件は、その取引がどれだけ確実に成立したかを見る材料になります。
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