土地と建物に係る還元利回りから求める方法とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
対象不動産が建物及びその敷地である場合に、その物理的な構成要素である土地及び建物に係る各還元利回りを、各々の価格の構成割合により加重平均して還元利回りを求める方法です。つまり、減らない土地と古くなる建物では求められる利回りが違うので、値段の割合で混ぜ合わせます。
土地と建物に係る還元利回りから求める方法とは
築10年の賃貸マンションを1億円で買うとき、その値段の中身は、土地6,000万円と建物4,000万円のように分けられます。土地は年月がたっても減りませんが、建物は古くなり、いつかは取り壊すことになります。だから買い手は、建物の分には土地の分より高い利回りを求めるのがふつうです。土地に求められる利回りと建物に求められる利回りを、6対4という価格の割合で混ぜ合わせたものが、この物件全体の還元利回りになる、というのがこの方法です。

土地の札と建物の札、二つの利回りを価格の割合で混ぜて一枚の札にする。
混ぜる割合は、面積や賃料ではなく価格の構成割合です
基準は、各々の価格の構成割合により加重平均する、と定めています。土地と建物のそれぞれに投じられているお金の割合で混ぜるので、使うのは面積の比でも賃料の比でもなく、価格の比です。1億円のうち土地が6,000万円、建物が4,000万円なら、土地の利回りに0.6を、建物の利回りに0.4を掛けて足します。建物の価格割合が高い築浅の物件ほど、建物の利回りが全体に強く効きます。

混ぜる割合は、面積の比でも賃料の比でもなく、価格の比。
土地と建物で利回りが違うと見る市場で、力を発揮します
留意事項は、この方法が、土地及び建物等に係る利回りが異なるものとして把握される市場において、それらの動向を反映させることに優れている、と述べています。土地は一般に滅失せず値打ちが残るのに対し、建物は償却され、いずれ価値がなくなります。この違いから買い手が土地と建物に別々の利回りを求めている市場なら、それぞれの動きを別々に追って全体に反映できます。ここで混ぜる土地の還元利回りと建物等の還元利回りは、留意事項の土地残余法・建物残余法の式にも同じ名前で出てきます。
還元利回りの例示は、基準に四つ、留意事項に五つあります
基準本文が例示する還元利回りの求め方は、類似の不動産の取引事例との比較から求める方法、借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方法、この土地と建物に係る還元利回りから求める方法、割引率との関係から求める方法の四つです。留意事項はこれに借入金償還余裕率の活用による方法を加えて、五つを例示します。借入金と自己資金の方法が資金調達上の構成要素(お金の出どころ)で混ぜるのに対し、この方法は物理的な構成要素(物の中身)で混ぜる、という対応関係にあります。
この方法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合に、その物理的な構成要素(土地及び建物)に係る各還元利回りを各々の価格の構成割合により加重平均して求めるものである。
出典: 総論第7章 第1節
実務ではこう使う
実務では、土地残余法や建物残余法を使う場面で土地と建物の還元利回りを別々に査定することがあり、その二つを価格割合で加重平均すると複合不動産の還元利回りが得られます。土地の価格は取引事例比較法で、建物の価格は原価法で求め、その比を価格割合に使います。取引利回りから求めた還元利回りの裏付けとして、この方法で検算することもあります。
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