特定盛土等規制区域とは?宅地造成及び特定盛土等規制法での意味を図でわかりやすく解説
宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域で、自然的条件と社会的条件からみて、特定盛土等や土石の堆積が行われると居住者等の生命又は身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域として知事が指定するものです。つまり、市街地から離れた山や谷でも、そこで盛土が崩れれば下流の住まいが危ない範囲です。
特定盛土等規制区域とは
市街地から離れた山あいの谷でも、そこに積まれた残土が大雨で崩れれば、渓流を伝って下流の住宅地まで届きます。宅地造成等工事規制区域は住まいの周りを囲む区域なので、こうした山側の場所は入りません。そこで、その区域の外でも、土地の傾斜や渓流の位置、周りの土地利用から見て住民に危害が及ぶおそれが特に大きい範囲を、知事が特定盛土等規制区域として指定します。区域内の工事は届出が原則で、大規模なものだけ許可制です。

谷の土が崩れれば渓流を伝って下の家に届くから、山側も囲む。
工事規制区域の外に指定し、二つの区域は重なりません
26条1項は、宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域で、土地の傾斜度、渓流の位置その他の自然的条件及び周辺地域における土地利用の状況その他の社会的条件からみて、特定盛土等又は土石の堆積が行われた場合に居住者等の生命又は身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域を指定できると定めています。傾斜と渓流は土砂が流れる道筋を、周りの土地利用は流れ着く先に住まいがあるかを見る条件です。手続は工事規制区域と同じで、関係市町村長の意見を聴き、公示と通知をし、公示で効力が生じ、必要な最小限度にとどめます(26条2〜6項)。
原則は届出で、着手の30日前までに計画を届け出ます
区域内で特定盛土等又は土石の堆積の工事をする工事主は、着手する日の30日前までに工事の計画を知事に届け出なければなりません(27条1項)。知事は届出を受理した日から30日以内に限り計画の変更などを勧告でき(27条3項)、正当な理由なく従わないときは期限を定めて命ずることができます(27条4項)。条文に理由は書いていませんが、着手の30日前に届け出させるのは、知事が計画を見て勧告する時間を確保するためと考えられます。指定時に工事中なら21日以内、擁壁などの工事は着手の14日前までの届出もあります(40条1項・3項)。

30日以内に勧告できるから、着手の30日前に届け出てもらう。
大規模なものは許可制で、中間検査と定期の報告が付きます
盛土で2メートル超の崖、切土で5メートル超の崖、5メートル超の盛土、面積3,000平方メートル超の盛土や切土、土石の堆積なら高さ5メートル超かつ面積1,500平方メートル超か面積3,000平方メートル超のものは、着手前に知事の許可が要ります(30条1項、施行令28条)。許可を受けた工事は、特定工程を終えるたびに知事の検査を申請し(37条)、定期に実施の状況を報告します(38条)。指定後に都市計画法の開発許可を受けたときは、この許可を受けたものとみなされます(34条2項)。
所有者等に努力義務、知事に報告徴取と改善命令があります
区域内の土地の所有者・管理者・占有者は、指定前に行われた特定盛土等や土石の堆積も含めて災害が生じないよう、土地を常時安全な状態に維持するよう努めなければなりません(41条1項)。知事は所有者・管理者・占有者に土地や工事の状況について報告を求めることができ(44条)、擁壁等が無いか極めて不完全で放置すると災害のおそれが大きい土地には、相当の猶予期限を付けて擁壁等の設置などの工事を命ずることができます(42条1項)。条文に理由は書いていませんが、命令の相手が所有者だけでなく管理者や占有者にも及ぶのは、実際にその土地を使っている人に直させるためと考えられます。
都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域であつて、土地の傾斜度、渓流の位置その他の自然的条件及び周辺地域における土地利用の状況その他の社会的条件からみて、当該区域内の土地において特定盛土等又は土石の堆積が行われた場合には、これに伴う災害により市街地等区域その他の区域の居住者その他の者(…「居住者等」という。)の生命又は身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域を、特定盛土等規制区域として指定することができる。
出典: 宅地造成及び特定盛土等規制法 26条1項
実務ではこう使う
市街地から離れた山林や農地でも、この区域に指定されていれば盛土や土石の堆積に届出や許可の手続が要ります。林地や農地の評価で残土の受け入れ地としての利用を想定するときは、区域の指定と許可の要否を役所で確かめてから収益や取引事例を見ます。
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