投資用の賃貸大型不動産とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
証券化対象不動産には当たらないが、投資家及び購入者等の保護の観点から、各論第3章の定めに準じて鑑定評価を行うよう努めなければならない場合の例示です。つまり、証券化の仕組みは使っていなくても、大勢の投資家や買い手が評価を頼りにする大きな賃貸ビルなどには、なるべく同じ手順を使います。
投資用の賃貸大型不動産とは
ある会社が自分のお金で買って持っている、大きな賃貸オフィスビルを考えてください。証券化はしていないので、証券化対象不動産ではありません。けれども、そのビルを買おうとする年金基金や、会社にお金を貸す銀行は、鑑定評価書を頼りに大きな判断をします。読み手が多く、影響が大きいという点は、証券化されたビルと変わりません。基準はこうした不動産を「投資用の賃貸大型不動産」と例示し、各論第3章の手順に準じて評価するよう努めることを求めています。

証券化対象不動産は「従って」、投資用の賃貸大型不動産は「準じて行うよう努める」。
「従って」ではなく「準じて」「努めなければならない」です
証券化対象不動産の鑑定評価は、各論第3章に「従って行わなければならない」義務です。それ以外の不動産については、基準は「この章の定めに準じて、鑑定評価を行うよう努めなければならない」と書いています。「準じて」は同じ手順をなぞること、「努めなければならない」は目指すべき姿を示す努力義務です。基準は理由を書いていませんが、範囲の外まで一律の義務にすると、エンジニアリング・レポートの入手やDCF法の必須適用を小さな案件にも強いることになるので、必要に応じて準じる形にしたと考えられます。
賃貸大型不動産は例示で、決め手は投資家及び購入者等の保護です
基準の文は「投資用の賃貸大型不動産の鑑定評価を行う場合その他の投資家及び購入者等の保護の観点から必要と認められる場合」です。賃貸大型不動産は分かりやすい例として挙げられているだけで、決め手は投資家及び購入者等の保護に必要かどうかです。中規模の物件でも、多くの購入者が評価を頼りにするなら準じる場面になります。逆に、準じて行うことを禁じる定めはどこにもありません。

決め手は投資家及び購入者等の保護。買い手の年金基金の加入者まで評価を頼りにする。
準じるときは、レポートの活用も手順に入ります
各論第3章は、証券化対象不動産の鑑定評価に当たって、依頼者にエンジニアリング・レポートの提出を求め、内容を分析・判断した上で活用することを義務にしています。この提出を求める義務は証券化対象不動産の鑑定評価に固有のもので、該当しない鑑定評価には義務としては及びません。ただし投資用の賃貸大型不動産などで各論第3章に準じて行う以上、レポートの提出を求めて活用することもその手順の中に入ります。一般の鑑定評価では、総論第8章の他の専門家が行った調査結果等の活用の定めによります。

提出を求める義務は証券化対象不動産だけ。準じる場面ではレポートを活用し得る。
証券化対象不動産以外の不動産の鑑定評価を行う場合にあっても、投資用の賃貸大型不動産の鑑定評価を行う場合その他の投資家及び購入者等の保護の観点から必要と認められる場合には、この章の定めに準じて、鑑定評価を行うよう努めなければならない。
出典: 各論第3章 第1節
実務ではこう使う
私募ファンドを組む前の段階で事業会社の大型物件を評価する場面や、機関投資家向けに賃貸ビルの取得の評価を頼まれる場面が典型です。証券化対象不動産に当たらないと判断したときも、依頼の背景から投資家や購入者の保護が必要かを確かめます。必要なら、エンジニアリング・レポートの入手や収益費用項目の統一を準用し、評価書にどの範囲で準じたかを書きます。
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