野生動植物保護地区とは?自然環境保全法での意味を図でわかりやすく解説
自然環境保全地域の特別地区内で、特定の野生動植物の保護のために特に必要があるとき、環境大臣が保全計画に基づいて、保護すべき野生動植物の種類ごとに指定する地区です。つまり、「この生き物をとってはいけない」と決めた区域で、その種類の捕獲や採取などが禁止されます。
野生動植物保護地区とは
特別地区の行為規制は、建物を建てたり土を削ったりして土地を変えることを止める仕組みです。ところが、珍しい蝶や高山植物は、土地をそのままにしていても、人が採って持ち帰れば減っていきます。そこで特別地区の中に、守る生き物の種類を決めてもう一つ小さな囲いを作り、その種類を捕ったり傷めたりすることを何人にも禁じます。これが野生動植物保護地区で、土地への規制の上に生き物への規制を重ねたものです。

特別地区の中に、守る生き物の種類ごとに小さな囲いを作る。
指定するのは環境大臣で、特別地区の中に種類ごとに置きます
26条1項は、環境大臣が特別地区内における特定の野生動植物の保護のために特に必要があると認めるときは、保全計画に基づいて、その区域内に、保護すべき野生動植物の種類ごとに野生動植物保護地区を指定できると定めています。指定するのは環境大臣で、自然環境保全法では原生自然環境保全地域から野生動植物保護地区まで、地域や地区の指定はすべて環境大臣が行い、都道府県知事が指定する地区はありません。都道府県が条例で特別地区(野生動植物保護地区を含む)を置けるのは、都道府県自然環境保全地域の中だけです(46条1項)。指定や区域の変更は官報で公示し、公示によって効力を生じます(26条2項)。指定や拡張の前には関係行政機関の長に協議します(43条1項)。
禁止されるのは、その種類の動植物をとることや傷めることです
26条3項は、何人も野生動植物保護地区内で、その地区に係る野生動植物(動物の卵を含む)を捕獲し、殺傷し、採取し、又は損傷してはならないと定めています。禁止の対象は「その地区に係る」種類に限られ、地区の指定と結びついた生き物だけです。地区ごとに守る種類を決める仕組みなので、同じ場所にいる他の動植物にはこの禁止は掛かりません。卵まで含めているのは、卵をとられれば次の世代が生まれないからです。
応急措置や保全事業など、守る目的に反しない行為は例外です
26条3項各号は、特別地区の許可を受けた行為を行うためにする場合、非常災害のために必要な応急措置、保全事業の執行、認定生態系維持回復事業等、国や地方公共団体が法令に基づいて行う行為で環境省令で定めるもの、通常の管理行為や軽易な行為で環境省令で定めるもの、環境大臣が特に必要があると認めて許可した場合を例外にしています。人命に関わる災害対応と、自然を守るための事業は、地区を置いた目的と衝突しないので禁止から外されています。環境大臣の許可には保全のために必要な限度で条件を付けられます(26条4項)。

その種類を捕るのは禁止。応急措置と保全事業は例外。
環境大臣は、特別地区内における特定の野生動植物の保護のために特に必要があると認めるときは、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、当該保護すべき野生動植物の種類ごとに、野生動植物保護地区を指定することができる。
出典: 自然環境保全法 26条1項
実務ではこう使う
野生動植物保護地区の中の土地は、特別地区として建築や造成が許可制であるうえに、対象の動植物に手を触れられないので、山林としての利用にも制約が重なります。評価ではその制約を個別的要因として見て、区域と保護対象の種類を環境省の地方環境事務所で確かめます。隣接地では、貴重な自然が残ることを地域要因として見ます。
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