特別地区とは?自然環境保全法での意味を図でわかりやすく解説
自然環境保全地域の中で、その地域の自然環境の特質に即して特に保全を図るべき土地の区域として、環境大臣が保全計画に基づいて指定する地区です。つまり、地域の中でも中心となる部分で、工作物の新築や木竹の伐採などが環境大臣の許可制になります。
特別地区とは
自然環境保全地域の中でも、天然林の中心部や湿原そのものは、周りの集落や農地と同じ扱いにはできません。そこで地域の中に一段強い囲いを作り、土地を変える行為や木を切る行為を、環境大臣の許可を受けなければできないようにします。この囲いが特別地区で、周りの普通地区が届出で足りるのに対し、ここは許可が要ります。ただし、林業を続ける人が森の手入れまでできなくなると森が荒れるので、森林の整備や保全のための行為には例外が置かれています。

地域の中心部を一段強く囲み、行為は環境大臣の許可制。
土地を変える行為と木竹の伐採は、環境大臣の許可制になります
25条4項は、特別地区内で、工作物の新築・改築・増築、宅地の造成などの土地の形質の変更、鉱物の掘採や土石の採取、埋立てや干拓、水位や水量の増減(17条1項1号〜5号の行為)に加えて、木竹の伐採、環境大臣が指定する区域内での木竹の損傷、外来の植物の植栽や動物を放つこと、湖沼や湿原への排水、指定区域内での車馬の使用などを、環境大臣の許可を受けなければしてはならないと定めています。許可を出すのは環境大臣で、環境省令で定める基準に適合しないものは許可できず(25条6項)、許可には保全のために必要な限度で条件を付けられます(25条5項)。原生自然環境保全地域の「してはならない」と違い、ここは「許可を受ければできる」仕組みです。
森林の整備や保全のための木竹の損傷は、許可がなくてもできます
25条4項ただし書は、非常災害のために必要な応急措置、保安林等の区域内で森林法34条2項の許可を受けた者が行う工作物の新築や排水、環境大臣が指定した方法と限度の範囲内で行う木竹の伐採、そして森林の整備及び保全を図るために行う木竹の損傷を、許可の対象から外しています。間伐や枝打ちのような森の手入れは、木を傷めるように見えても森を健全に保つ行為なので、許可制に載せる必要がないからです。保全事業の執行として行う行為や、通常の管理行為・軽易な行為で環境省令で定めるものにも、許可の規定は適用されません(25条10項)。

森を手入れするための損傷は許可不要。宅地造成は許可が要る。
許可なしでできる伐採の限度は、農林水産大臣と協議して決めます
25条3項は、環境大臣が特別地区を指定し又はその区域を拡張するときは、あわせて保全計画に基づき、区域内で許可を受けないで行える木竹の伐採の方法とその限度を、農林水産大臣と協議して指定すると定めています。伐採を全部許可制にすると林業が続けられなくなるので、一定の方法と量までは自由にしておき、その線引きを森林行政を担う農林水産大臣と決める仕組みです。自然環境保全法の特別地区の手続に都道府県知事は登場せず、指定も許可も協議もすべて国の大臣の間で行われます。

伐採の限度は、環境大臣と農林水産大臣が協議して決める。
規制が始まったときに着手していた行為は、6月間続けられます
25条8項は、行為が規制されることになった時に既に着手している者は、その日から起算して6月間は引き続き行えると定め、25条9項は、その期間内に環境大臣に届け出たときは許可を受けたものとみなすと定めています。原生自然環境保全地域の経過措置が3月で、許可を申請しても処分までしか延びないのに比べ、特別地区は期間も長く、届出だけで許可を受けた扱いになる点が緩やかです。特別地区内で非常災害のために必要な応急措置として行為をした者は、行為をした日から起算して14日以内に環境大臣に届け出ます(25条7項)。
環境大臣は、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、特別地区を指定することができる。
出典: 自然環境保全法 25条1項
実務ではこう使う
特別地区内の山林の評価では、伐採が許可制で、農林水産大臣と協議して指定された方法と限度の範囲でしか自由に切れないことを、林地の収益性を下げる要因として見ます。民有地も対象になるので、対象地が特別地区か普通地区かを環境省の地方環境事務所や都道府県の担当課で確かめ、評価書の行政的条件に書きます。
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