与件とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
不動産が利用されるときに、あらかじめ与えられていて使う側が選び直せない条件のことです。基準は、不動産は土地の持つ諸特性に照応する特定の自然的条件及び人文的条件を与件として利用される、と定めています。
与件とは
家を建てようと土地を買ったとき、駅まで歩いて何分か、道路にどう接しているか、地盤が固いか、用途地域が何かは、もう決まっていて買い手が選び直せません。使う側はこの決まった条件を前提に、何をどう建てるかを考えます。この「与えられた条件」を縮めた言葉が与件です。基準は、不動産は土地の持つ諸特性に照応する特定の自然的条件及び人文的条件を与件として利用され、その社会的及び経済的な有用性を発揮する、と定めています。土地の特性という一般論が、一つひとつの不動産では具体的な条件の形で現れ、使う側はそれを引き受けて使う、という構えです。

駅までの距離も道路も地盤も、買い手が選び直せない与えられた条件。
特性は土地の一般論で、条件はその不動産の与件です
地理的位置の固定性や個別性は、どの土地にもある性質(特性)です。それが一つの不動産に現れると、「地盤が固い」「間口12mで奥行20m」という、その不動産だけの自然的条件になります。用途の多様性や社会的及び経済的位置の可変性という特性は、「駅まで徒歩12分」「この区域は住居地域」という人文的条件として現れます。基準が「照応する」と書くのは、土地の特性と個々の不動産の条件がこのように対応しているからです。特性を知らなければ、目の前の条件がなぜそうなっているのかが分かりません。

土地の特性が、一つの不動産では具体的な条件になって現れる。
与件が変われば、利用形態と有用性も変わります
基準は続けて、これらの諸条件の変化に伴って、その利用形態並びにその社会的及び経済的な有用性は変化する、と定めます。畑の脇の細い農道が幅の広い舗装道路に付け替えられれば「幅6mの道路に面する」という条件が新しく生まれ、畑は宅地に変わり、役立ち方も変わります。土地そのものは固定的で硬直的でも、それを基盤とする不動産の使われ方は条件しだいで動きます。順序は、条件が先に変わり、利用形態と有用性がそれに伴って変わる、です。

道路が広がって条件が変わると、畑は宅地に変わる。
不動産のあり方は、基本の要素である個々の土地に左右されます
不動産は土地とその定着物で、基本の要素は土地です。建物は建て替えられますが、土地の条件は建物を建てる前から与えられています。だから個々の不動産のあり方は個々の土地の影響を大きく受け、土地の特性を理解しなければ、不動産もその価格も理解できません。第2節が土地の特性から書き起こしているのはこのためです。
不動産は、この土地の持つ諸特性に照応する特定の自然的条件及び人文的条件を与件として利用され、その社会的及び経済的な有用性を発揮するものである。
出典: 総論第1章 第2節
実務ではこう使う
現地調査で地盤、高低差、接面道路、上下水道の状況を確かめるのは、対象不動産の与件を一つずつ押さえる作業です。依頼者が「将来は道路が広がる」と言っても、価格時点で与えられている条件を前提に評価し、将来の変化は予測として別に扱います。与件を書き落とした評価書は、なぜその使い方が最適なのかを説明できません。
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