/ 鑑定理論

自然的特性とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

土地が他の一般の諸財と異なって持つ、土地そのものに備わった性質です。地理的位置の固定性、不動性、永続性、不増性、個別性などで、まとめて固定的であって硬直的です。

自然的特性とは

買った車が気に入らなければ売って別の車に乗り換えられますし、工場は同じ車をもう一台作れます。土地はそうはいきません。場所を動かせず、使っても古びず、足りないからと増やすこともできず、まったく同じ土地は二つとありません。この、人が何をしようと変えられない、土地そのものに備わった性質が自然的特性です。基準は地理的位置の固定性、不動性(非移動性)、永続性(不変性)、不増性、個別性(非同質性、非代替性)を挙げ、まとめて「固定的であって硬直的である」と締めています。

自然的特性の図解:車は動かせて増やせるが、土地は動かせず古びず増やせず二つとない。

車は動かせて増やせるが、土地は動かせず古びず増やせず二つとない。

五つの特性は、どれも人の手で変えられないものです

地理的位置の固定性と不動性は、土地がその場所から動かせないことです。永続性は、建物のように老朽化して無くなることがないことです。不増性は、人が土地の総量を増やせないことです。個別性は、場所が固定されている以上、まったく同じ土地は二つとないことです。どれも人が働きかけても変えられないので、基準はまとめて「固定的であって硬直的」と締めます。

人が関わって生まれる性質は、人文的特性に分けます

土地を合わせたり分けたりできること(併合及び分割の可能性)、住宅にも店にも使えること(用途の多様性)、駅ができて街の中での位置づけが変わること(社会的及び経済的位置の可変性)は、土地が自分で持っている性質ではありません。人が境界線を引き直し、使い方を決め、街を作ることで生まれます。だから基準はこれらを人文的特性として別に置き、「可変的であって伸縮的」と締めます。分けるときの問いは「人が変えられるかどうか」の一つだけです。

自然的特性の図解:人が変えられないものが自然的特性、人が変えられるものが人文的特性。

人が変えられないものが自然的特性、人が変えられるものが人文的特性。

個別性があっても、似た土地どうしは代わりになります

個別性(非同質性、非代替性)は、まったく同じ土地は二つとないという、理論的・物理的な意味の性質です。しかし家を探す人は、同じ駅から歩いて同じくらいの、同じ広さの区画を見比べて選びます。基準も同じ節で、不動産は地域内の他の不動産との間に協働、代替、競争等の関係にたつと定めています。似た土地の取引価格を手がかりにする取引事例比較法が成り立つのは、この現実の代替性のおかげです。

自然的特性の図解:二つとない土地でも、条件が似ていれば買い手には代わりになる。

二つとない土地でも、条件が似ていれば買い手には代わりになる。

永続性は土地が古びないことで、値打ちの話ではありません

土地は建物のように老朽化しません。ただ基準は続けて、諸条件の変化に伴って不動産の利用形態と社会的及び経済的な有用性は変化する、と定めています。所有者の古い建物が建ったままの土地は、更地としての一番良い使い方から外れて、敷地の経済価値が下がることがあります。固定的で硬直的なのは土地そのものであって、その上での使われ方と役立ち方は動きます。

自然的特性として、地理的位置の固定性、不動性(非移動性)、永続性(不変性)、不増性、個別性(非同質性、非代替性)等を有し、固定的であって硬直的である。

出典: 総論第1章 第2節

実務ではこう使う

評価書の個別的要因の項で、地積や形状、接面道路との関係を一筆ごとに書くのは、土地に個別性があるからです。同時に、取引事例比較法で似た土地の取引を使えるのは、現実の市場で代替性が認められるからです。土地は増やせないので、供給を増やして価格を下げるという手が使えないことも、地域分析の前提になります。

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