併合及び分割の可能性とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
土地は、二つ以上の区画を一つに合わせることも、一つの区画をいくつかに分けることもできるという人文的特性です。つまり、土地の範囲は境界線の引き方しだいで人が変えられるということです。
併合及び分割の可能性とは
隣の家が売りに出たとき、自分の敷地と合わせれば、駐車場付きの広い家や角地の店が建てられます。逆に、相続した広い畑を三つに分けて一区画ずつ売ることもできます。土地そのものは少しも動いていないのに、境界線の引き方を変えるだけで使い道と値打ちが変わります。基準はこの性質を併合及び分割の可能性と呼び、人文的特性の二つ目に置いています。

土地は動かないが、境界線は人が引き直せる。
人が境界線を引き直す性質だから、人文的特性です
土地は動かせず、増やせません。これは土地に備わった自然的特性で、人が変えられないので基準は固定的であって硬直的と締めます。土地を合わせる、分けるは、測量と登記という人の行為で境界線を引き直すことです。人が働きかけて生まれる性質なので人文的特性に入り、可変的であって伸縮的と締めます。もし自然的特性に置いたら、人が手を出せない性質になってしまい、合わせたり分けたりできるという中身と食い違います。
重なった権利を一人にまとめるのも併合です
併合は、隣り合う二つの区画を一つにする場合だけではありません。同じ土地の上に、借地権と底地という二つの権利が上下に重なっていることがあります。借地権付建物の所有者が敷地の所有権を買い取れば、二つの権利が一人の完全な所有権にまとまり、これも併合です。基準は総論第5章で限定価格を求める場合の一つ目に、借地権者が底地の併合を目的とする売買を挙げています。

借地権者が底地を買い取ると、二つの権利が一つにまとまる。
併合後の価格は、二つの合計より高くなるのが通常です
借地権付建物の価格も底地の価格も、相手の権利に縛られた状態の価格です。借地人は地代を払い続けなければならず、地主は自分では土地を使えません。併合で縛りが消えると完全な所有権の値打ちが戻るので、併合後の価格は併合前の二つの合計より高くなります。この増えた分を売り手と買い手のどちらがどれだけ取るかが問題になるので、当事者の間だけで成り立つ限定価格を求める場面が生まれます。分割では逆に、経済合理性に反する分け方をすると全体の値打ちが減るので、こちらも限定価格を求める場面になります。

縛りが消える分だけ、併合後の価格は合計を上回る。
人文的特性として、用途の多様性(用途の競合、転換及び併存の可能性)、併合及び分割の可能性、社会的及び経済的位置の可変性等を有し、可変的であって伸縮的である。
出典: 総論第1章 第2節
実務ではこう使う
隣地を買い増したい依頼者から評価を頼まれたら、併合で生まれる増分を誰が取るかを意識して、正常価格と限定価格のどちらを求めるかを依頼者と確かめます。分譲事業者から広い土地の評価を頼まれたときは、分割して売る前提の開発法が使えるかを検討します。土地の範囲が人の都合で変わるからこそ、評価の最初に対象不動産の範囲を確定する手順が要ります。
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