用途の多様性とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
土地が、用途の競合、転換及び併存の可能性を持つという人文的特性です。つまり、一つの土地に使い方の候補がいくつもあって、取り合ったり、別の使い方に変わったり、同居したりできるということです。
用途の多様性とは
駅前に空き地が一つあるとします。コンビニを建てても、駐車場にしても、マンションにしても成り立ちそうです。少し前まで畑だった土地が宅地に変わり、一棟のビルの一階が店で二階から上が事務所、ということも珍しくありません。一つの土地に使い方の候補がいくつもあって、取り合ったり、入れ替わったり、同居したりできる。この性質を基準は人文的特性の一つ目に置き、用途の多様性と呼びます。

一つの空き地に、店・駐車場・マンションと使い方の候補がいくつもある。
括弧の中の競合・転換・併存は、多様性の三つの現れ方です
基準は用途の多様性の後ろに括弧を付け、用途の競合、転換及び併存の可能性と書きます。競合は、店にも住まいにも使える土地を複数の使い方が取り合うことです。転換は、畑が宅地に、工場の跡地が住宅地に、と使い方が別のものへ変わることです。併存は、一棟の建物の中で店と事務所のように複数の使い方が同時に成り立つことです。三つとも、使い方が一つに固定されていないことの現れで、どれか一つが欠けても多様性の説明にはなりません。

競合は取り合い、転換は変化、併存は同居。
使い方を選ぶのは人だから、人文的特性に入ります
土地は動かせず、増やせず、同じものが二つとありません。これは土地そのものに備わった自然的特性で、人が手を出せないので基準は固定的であって硬直的と締めます。一方、その土地を店にするか住まいにするかは人が決めることです。人が働きかけて生まれる性質なので人文的特性に入り、基準は可変的であって伸縮的と締めます。用途の多様性は、この人文的特性の側の一つ目です。
競合する用途の中から、価格を指標に最有効使用が決まります
候補が複数あるとき、どの使い方が実現するかは価格で決まります。基準は総論第1章第1節で、不動産のあり方は価格を選択の主要な指標として決定されている、と定めています。その土地で最も高い価格を出せる使い方をする人が土地を手に入れるので、価格はその使い方(最有効使用)を前提に形づくられます。一棟の中に店と事務所が同居する使い方が最も効用を発揮するなら、併存した使い方をそのまま最有効使用と判定することもできます。

競合する候補のうち、最も高い価格を出せる使い方が最有効使用になる。
人文的特性として、用途の多様性(用途の競合、転換及び併存の可能性)、併合及び分割の可能性、社会的及び経済的位置の可変性等を有し、可変的であって伸縮的である。
出典: 総論第1章 第2節
実務ではこう使う
更地の評価では、住宅、店舗、共同住宅といった候補の用途を並べ、近隣地域の標準的使用と照らして最有効使用を判定します。商店街の一棟のビルなら、下が店で上が事務所という併存の使い方をそのまま最有効使用と判定することがあります。畑が宅地に変わりつつある地域では、転換の見込みをどう読むかが価格を大きく左右します。
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