有害な物質とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
建物の各用途に共通する個別的要因の一つで、基準では「有害な物質の使用の有無及びその状態」と書かれます。つまり、アスベストやPCBのように人の健康を害する物質が建物に使われ、又は保管されているかと、その扱われ方です。
有害な物質とは
古いビルを買うとき、天井裏の吹付け材にアスベストが含まれていないか、地下の電気室に古い変圧器が置いたままになっていないかを、買い手は必ず確かめます。除去や処分に大きな費用がかかり、その分だけ払える値段が下がるからです。基準はこれを「有害な物質の使用の有無及びその状態」と呼び、建物の各用途に共通する個別的要因の一つに数えています。留意事項が特に名指しするのは、建設資材としてのアスベストと、ポリ塩化ビフェニル(PCB)の二つです。土地の土壌汚染とは別に、建物の側の要因として整理します。

古いビルの現地調査で、アスベストとPCBの二つを確かめる。
アスベストは、使用の有無と飛散防止の措置の二つで見ます
アスベストは、かつて耐火や断熱のために吹付け材や建材として広く使われた鉱物繊維で、空気中に飛んだ繊維を吸い込むと健康を害します。留意事項は「使用の有無」に加えて「飛散防止等の措置の実施状況」に特に留意するよう求めます。使われていても、封じ込めや囲い込みで繊維が飛ばないようにしてあれば、今すぐの危険は小さく、費用は解体時まで先送りになります。むき出しのままなら、除去の工事費がすぐに要ります。同じ「使用あり」でも措置の有無で費用の出方が変わるので、二つを分けて見ます。

同じアスベスト使用でも、むき出しか、囲い込み済みかで費用が変わる。
PCBは、使用状況と保管状況の二つで見ます
PCBは、古い変圧器やコンデンサ、蛍光灯の安定器などに絶縁油として使われた化学物質で、分解されにくく体に蓄積します。留意事項は「使用状況」と「保管状況」に特に留意するよう求めます。PCBを含む機器は勝手に捨てられず、使い終わったあとも処分が済むまで法律に従って保管しなければなりません。処分の期限が法律で区切られて処理が進んだ今も、電気室や倉庫に古い機器が残っていることがあります。今使っている機器だけを見ると、この保管中の機器を見落とします。だから使用と保管の両方を確かめます。

今使っている変圧器だけでなく、電気室の奥に保管された古い機器も見る。
対策工事費の要否と多寡を通じて、価格に効きます
有害な物質の使用の有無及びその状態は、除去・封じ込め・処分といった対策工事費等が要るかどうか、要るならいくらかを左右し、その分が価格に表れます。住宅でも事務所ビルでも物流施設でも共通に確かめる要因です。似た話に土地の土壌汚染がありますが、土壌汚染は土地に関する個別的要因、有害な物質は建物に関する個別的要因と、属する場所が違います。建物を取り壊しても土地の汚染は残り、土地がきれいでも建物にアスベストがあることはあるので、別々に見ます。
建設資材としてのアスベストの使用の有無及び飛散防止等の措置の実施状況並びにポリ塩化ビフェニル(PCB)の使用状況及び保管状況に特に留意する必要がある。
出典: 総論第3章 第3節
実務ではこう使う
竣工年からアスベスト含有建材が使われている可能性を推定し、依頼者に調査報告書や改修の記録を求めます。吹付け材が露出していれば除去費用を、封じ込め済みなら将来の解体時の費用を見込みます。PCBは古い変圧器やコンデンサの保管の有無を管理者に確かめ、処分費用を考慮します。
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