有期還元法とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
敷地と建物等から成る不動産の収益価格を、償却前の純収益に、割引率と有限の収益期間とを基礎とした複利年金現価率を乗じて求める方法です。つまり収益が入る年数に終わりがあるとき、その年数分の純収益を今の価値に直して合計する計算で、期間の終わりに残る土地や建物の価値を足し引きするインウッド式などがあります。
有期還元法とは
定期借地権付きの賃貸マンションは、借地の期限が来れば建物を壊して土地を地主に返すので、家賃収入が入るのは残りの20年だけ、というように収益の期間に終わりがあります。家賃が永久に続く前提で計算すれば、価値を大きく見すぎます。そこで、残りの年数分の純収益だけを今の価値に直して足し合わせるのが有期還元法です。純収益に掛ける複利年金現価率は、割引率と収益期間を基礎に決まる一つの倍率で、「毎年同じ額が20年続くとき、それを今いくらと見るか」を一度に計算します。

収益に終わりがある不動産は、残りの年数分だけを今の価値に直して足す。
インウッド式は、期間の終わりに残るものを足し引きします
収益期間が終わったあとも、土地はそこに残り、建物にも残りの価値があったり、逆に壊す費用がかかったりします。留意事項は、複利年金現価率を用い、収益期間満了時の土地の価格と、建物等の残存価格又は建物等の撤去費をそれぞれ現在価値に換算した額を加減する方法をインウッド式と呼びます。式は、償却前の純収益に複利年金現価率を掛けた額に、n年後の土地価格と建物等の価格の合計を割り引いた額を加える形です。収益期間が建物の経済的残存耐用年数まで続くなら建物は残らないので、N年後の土地価格から撤去費を引いた額を割り引いて加えます。

期間の終わりに土地と建物が残るなら足し、建物を壊すなら撤去費を引く。
収益期間を無期にすると、直接還元法と同じ式になります
複利年金現価率は、割引率と年数から決まります。年数を限りなく長くしていくと、この率は割引率の逆数、つまり「1÷割引率」に近づきます。純収益に「1÷割引率」を掛けることは、純収益を割引率で割ることと同じです。留意事項は、還元利回りを割引率から純収益の変動率を引いて求める式も示しているので、毎期の純収益が同じ額なら変動率は0で、還元利回りは割引率と一致します。したがって無期の場合の式は、一期間の純収益を還元利回りで割る直接還元法の式と同じになります。有期還元法は、直接還元法に「収益はいつまで続くか」という期限を入れたものと読めます。

年数が限りなく延びると、複利年金現価率は「1÷割引率」に近づく。
ホスコルド式は、元本の回収を蓄積利回りで別に見ます
留意事項は、複利年金現価率の代わりに、蓄積利回り等を基礎とした償還基金率と割引率とを用いる方法をホスコルド式と呼びます。償還基金率は、決まった年数のあとに一定の元本を用意するために、毎年いくらずつ積み立てればよいかを表す率です。式の上では、割引率に償還基金率を足した率で純収益を割る形になります。留意事項は式を示すだけですが、インウッド式が収益を割引率一本で割り戻すのに対し、ホスコルド式は投じた元本を取り戻す分を、割引率より低い安全な蓄積利回りで積み立てると考える方法と読めます。
DCF法で純収益を一定にすると、インウッド式になります
DCF法の基本式は、毎期の純収益を一期ずつ割り引いて足し、最後に復帰価格を割り引いて加えるものです。ここで毎期の純収益をすべて同じ額に置き、復帰価格をn年後の土地価格と建物等の価格の合計に置き換えると、式の形はインウッド式とぴったり重なります。つまりインウッド式は、DCF法の毎期の割引をまとめて一つの倍率で済ませたものです。定期借地権付きの建物について、各論第1章の留意事項は、契約期間の満了に伴う更新がなされないことに留意するとだけ定めています。更新がなく借地契約が終わる以上、収益期間に終わりがあるので、有期であることを前提とした有期還元法等がふさわしいと読めます。
不動産が敷地と建物等との結合により構成されている場合において、その収益価格を、不動産賃貸又は賃貸以外の事業の用に供する不動産経営に基づく償却前の純収益に割引率と有限の収益期間とを基礎とした複利年金現価率を乗じて求める方法があり、基本的に次の式により表される。
出典: 総論第7章 第1節
なお、複利年金現価率を用い、収益期間満了時における土地の価格、及び建物等の残存価格又は建物等の撤去費をそれぞれ現在価値に換算した額を加減する方法(インウッド式)がある。
出典: 総論第7章 第1節
実務ではこう使う
定期借地権付きの賃貸マンションや、建て替えが見込めない老朽ビルの評価では、借地の残存期間や建物の経済的残存耐用年数から収益期間を決め、その年数分の償却前の純収益に複利年金現価率を掛けます。期間の終わりに土地を返すのか、建物を壊すのかを契約書と現況から確かめ、最後の項で土地の価格や撤去費を加減します。評価書には、収益期間の根拠と割引率や蓄積利回りの査定を書きます。
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