鑑定評価基準 第8章の要点整理 - 鑑定評価の手順
不動産鑑定評価基準・総論第8章を要点整理。鑑定評価の手順(9段階)を時系列で整理し、各段階の要点・留意事項を解説。試算価格の調整と鑑定評価額の決定のプロセスまで、試験対策の暗記ポイントとあわせて紹介します。
はじめに ― 総論第8章が示す鑑定評価の「流れ」
不動産鑑定評価基準(以下「基準」といいます)の総論第8章は「鑑定評価の手順」を扱う章です。鑑定評価を依頼された不動産鑑定士が、どのような順序でどのような作業を行い、最終的に鑑定評価額を決定するのかという一連のプロセスが、時系列に沿って規定されています。
第8章が重要な理由は、鑑定評価の手順を体系的に理解することが、基準全体の構造を理解することに直結するからです。総論の各章(第1章から第9章)は、実は鑑定評価の手順に対応する形で配置されています。第5章の基本的事項の確定、第6章の地域分析・個別分析、第7章の鑑定評価の方式の適用は、いずれも第8章で示される手順の中に位置づけられます。
不動産鑑定士試験においても、鑑定評価の手順は短答式で手順の順序を問う問題や論文式で手順全体の趣旨を論じる問題が出題される重要テーマです。
本記事では、総論第8章の要点を体系的に整理し、各段階の要点と試験対策を解説します。
鑑定評価の手順は、一般に鑑定評価の基本的事項の確定、依頼受付時の確認等、処理計画の策定、対象不動産の確認、資料の収集及び整理、資料の検討及び価格形成要因の分析、鑑定評価の方式の適用、試算価格又は試算賃料の調整、鑑定評価額の決定並びに鑑定評価報告書の作成の作業から成り立つものである。
― 不動産鑑定評価基準 総論第8章
鑑定評価の手順の全体像
鑑定評価の手順は以下の9段階(鑑定評価報告書の作成を含めると10段階)で構成されています。
| 段階 | 手順 | 対応する基準の章 |
|---|---|---|
| 1 | 鑑定評価の基本的事項の確定 | 総論第5章 |
| 2 | 依頼受付時の確認等 | 総論第8章 |
| 3 | 処理計画の策定 | 総論第8章 |
| 4 | 対象不動産の確認 | 総論第8章 |
| 5 | 資料の収集及び整理 | 総論第8章 |
| 6 | 資料の検討及び価格形成要因の分析 | 総論第3章・第6章 |
| 7 | 鑑定評価の方式の適用 | 総論第7章 |
| 8 | 試算価格又は試算賃料の調整 | 総論第7章・第8章 |
| 9 | 鑑定評価額の決定 | 総論第8章 |
| (10) | 鑑定評価報告書の作成 | 総論第9章 |
この手順は、前の段階の結果を踏まえて次の段階に進むという段階的・累積的なプロセスです。各段階を飛ばしたり、順序を入れ替えたりすることは適切ではありません。以下、各段階の要点を順に解説します。
鑑定評価の流れについて、実務的な視点からの解説は不動産鑑定評価の流れもあわせてご覧ください。
第1段階:鑑定評価の基本的事項の確定
要点
鑑定評価の最初のステップは、評価の前提となる基本的事項を確定することです。確定すべき基本的事項は以下の4つです。
| 基本的事項 | 内容 |
|---|---|
| 対象不動産の確定 | 何を評価するのか。物的確定と権利の態様の確定 |
| 価格時点の確定 | いつ時点の価格を求めるのか |
| 価格又は賃料の種類の確定 | どのような価格・賃料を求めるのか(正常価格、限定価格、特定価格、特殊価格) |
| 条件設定 | どのような前提条件のもとで評価するのか |
この段階は総論第5章に対応しています。基本的事項が確定しなければ、以降の評価プロセスを適切に進めることができません。依頼者との間で、これらの事項について十分に確認し、合意しておくことが重要です。
鑑定評価に当たっては、基本的事項として、対象不動産、価格時点並びに価格又は賃料の種類を確定しなければならない。
― 不動産鑑定評価基準 総論第5章
第2段階:依頼受付時の確認等
要点
鑑定評価の依頼を受ける際に、鑑定評価の依頼目的や利用者の範囲等について確認を行う段階です。
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 依頼目的 | 鑑定評価の結果がどのような目的に使用されるか |
| 利用者の範囲 | 鑑定評価の結果を利用する者の範囲 |
| 関与不動産鑑定士・関与不動産鑑定業者 | 当該鑑定評価に関与する者の確認 |
| 提出先 | 鑑定評価書の提出先 |
| 鑑定評価額の公表の有無 | 評価額が公表される予定があるか |
この段階で特に重要なのは、鑑定評価の依頼目的の確認です。依頼目的は、対象不動産の確定、価格の種類の確定、条件設定の妥当性の判断に直結します。例えば、担保評価目的の場合と相続税の申告目的の場合では、求めるべき価格の前提が異なる可能性があります。
また、鑑定評価の依頼目的や条件を踏まえて、依頼の引受けの可否を判断することも、この段階の重要な内容です。
第3段階:処理計画の策定
要点
鑑定評価の作業を効率的かつ適切に進めるために、作業の手順・日程等の処理計画を策定する段階です。
| 計画すべき事項 | 内容 |
|---|---|
| 作業のスケジュール | 調査、分析、報告書作成の日程 |
| 共同鑑定の場合の分担 | 複数の鑑定士が関与する場合の役割分担 |
| 必要な資料の見通し | 収集すべき資料の種類と入手先の見通し |
処理計画の策定は、鑑定評価の品質と効率を確保するための実務的に重要な段階ですが、試験では他の段階に比べて出題頻度はやや低い傾向にあります。
第4段階:対象不動産の確認
要点
第4段階は、第1段階で確定した対象不動産について、その物的状態や権利関係を実際に確認する段階です。対象不動産の確認には以下の2つがあります。
| 確認の種類 | 内容 | 具体的な方法 |
|---|---|---|
| 実地調査(現地調査) | 対象不動産の物理的状態を現地で確認する | 現地に赴いて土地の形状・面積、建物の構造・状態、周辺環境等を目視確認 |
| 確認資料の収集・確認 | 登記簿、図面等の資料で権利関係等を確認する | 登記事項証明書、公図、建築確認済証、固定資産税課税明細等 |
鑑定評価に当たっては、対象不動産の物的確認及び権利の態様の確認を行うため、原則として、対象不動産の実地調査を行わなければならない。
― 不動産鑑定評価基準 総論第8章
実地調査は鑑定評価において原則として必須です。対象不動産の物理的な状態は、机上の資料だけでは正確に把握できないことが多いため、鑑定士自らが現地を確認する必要があります。実地調査で確認すべき事項には以下のようなものがあります。
| 確認項目 | 具体例 |
|---|---|
| 土地の状況 | 形状、高低差、接道状況、隣接地の状況、日照・通風 |
| 建物の状況 | 構造、築年数、維持管理状態、設備の状況、増改築の有無 |
| 周辺環境 | 用途的地域の判定、騒音・振動・臭気、嫌悪施設の有無 |
| 利用状況 | 現在の利用形態、賃貸借の有無、占有の状況 |
物的確認と権利の態様の確認
| 確認の種類 | 対象 | 資料 |
|---|---|---|
| 物的確認 | 土地の所在・地番・面積、建物の構造・床面積等 | 登記事項証明書、公図、測量図、建築確認済証 |
| 権利の態様の確認 | 所有権、借地権、底地、抵当権等の権利関係 | 登記事項証明書、契約書、固定資産税評価証明書 |
第1段階で確定した対象不動産の内容と、実地調査や確認資料から把握した実態とが異なる場合には、基本的事項の見直しが必要になることがあります。
第5段階:資料の収集及び整理
要点
鑑定評価に必要な各種資料を収集し、整理する段階です。収集すべき資料は大きく以下の3種類に分かれます。
| 資料の種類 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 確認資料 | 対象不動産の確認に必要な資料 | 登記事項証明書、住宅地図、公図 |
| 要因資料 | 価格形成要因の分析に必要な資料 | 都市計画図、用途地域図、路線価図、人口統計 |
| 事例資料 | 鑑定評価の手法適用に必要な資料 | 取引事例、賃貸事例、建設事例、造成事例 |
鑑定評価に当たっては、鑑定評価に必要な資料を、可能な限り収集し、整理しなければならない。
― 不動産鑑定評価基準 総論第8章
資料の収集にあたっては、資料の信頼性の吟味が重要です。不正確な資料に基づいて評価を行えば、鑑定評価額の信頼性が損なわれます。複数の資料源を照合し、資料の正確性を確認する作業が求められます。
第6段階:資料の検討及び価格形成要因の分析
要点
収集した資料を検討し、対象不動産の価格形成要因を分析する段階です。この段階は、総論第3章(価格を形成する要因)と総論第6章(地域分析及び個別分析)の内容に対応しています。
| 分析の種類 | 内容 | 成果 |
|---|---|---|
| 一般的要因の分析 | 社会・経済・行政的な動向の分析 | 不動産市場全体の動向の把握 |
| 地域分析 | 近隣地域の特性、市場の特性の分析 | 標準的使用の判定 |
| 個別分析 | 対象不動産の個別的要因の分析 | 最有効使用の判定 |
価格形成要因の分析においては、一般的要因 → 地域要因 → 個別的要因という、マクロからミクロへの段階的な分析が行われます。これは、大きな視点で市場全体の動向を把握した上で、対象不動産の属する地域の特性を分析し、最後に対象不動産個別の特性を分析するという流れです。
この段階の分析結果は、次の第7段階における鑑定評価の方式の適用の前提となります。特に、地域分析で判定した標準的使用と個別分析で判定した最有効使用は、手法の適用における重要な前提条件です。
第7段階:鑑定評価の方式の適用
要点
第6段階までの分析結果を踏まえて、鑑定評価の三方式(原価法、取引事例比較法、収益還元法)を実際に適用し、試算価格を求める段階です。この段階は総論第7章の内容に対応しています。
| 手法 | 着目する性格 | 試算価格 |
|---|---|---|
| 原価法 | 費用性 | 積算価格 |
| 取引事例比較法 | 市場性 | 比準価格 |
| 収益還元法 | 収益性 | 収益価格 |
基準では、原則として三方式を併用し、複数の試算価格を求めることが求められています。三方式の併用が困難な場合でも、その考え方をできるだけ参酌するよう努めるべきとされています。
三方式の各手法の詳細については鑑定評価の3手法を徹底比較をご覧ください。
第8段階:試算価格又は試算賃料の調整
要点
三方式の適用により複数の試算価格が得られた場合、それらを統合して鑑定評価額を導くために行うのが試算価格の調整です。
試算価格又は試算賃料の調整とは、鑑定評価の複数の手法により求められた各試算価格又は各試算賃料の再吟味を行い、さらに各試算価格又は各試算賃料が有する説得力に係る判断を行い、鑑定評価における最終判断である鑑定評価額の決定に導く作業をいう。
― 不動産鑑定評価基準 総論第8章
試算価格の調整は以下の手順で行われます。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 各試算価格の再吟味 | 各手法の適用過程を振り返り、資料の選択・活用、手法の適用方法の妥当性を再検討する |
| 2. 各試算価格の説得力の判断 | 対象不動産の類型、市場の特性、資料の信頼性等を踏まえ、各試算価格の相対的な説得力を判断する |
| 3. 鑑定評価額の決定への導入 | 説得力の判断結果を踏まえて、鑑定評価額の決定に進む |
調整において重要な視点
試算価格の調整は、単に試算価格の平均を取ることではないという点が極めて重要です。
| 調整の視点 | 内容 |
|---|---|
| 資料の信頼性 | 各手法で使用した資料(取引事例、建設費、賃料データ等)がどの程度信頼できるか |
| 手法の適合性 | 対象不動産の種類、所在地域、市場の状況に照らして、各手法がどの程度適合しているか |
| 手法適用の精度 | 各手法の適用過程において、恣意性がなく適切に行われたか |
| 試算価格間の開差の検討 | 複数の試算価格の間に開差がある場合、その原因を合理的に説明できるか |
説得力の判断の考え方
対象不動産の類型によって、各手法の説得力は異なります。
| 対象不動産の類型 | 説得力が相対的に高い手法 | 理由 |
|---|---|---|
| 賃貸用不動産(賃貸マンション等) | 収益還元法 | 収益性が価格形成の中心的要素であるため |
| 更地(住宅地) | 取引事例比較法 | 取引事例が豊富であり市場性が反映されやすいため |
| 新築建物及びその敷地 | 原価法 | 建設費用のデータが入手しやすく費用性の把握が容易であるため |
| 事業用不動産(ホテル・商業施設等) | 収益還元法 | 事業収益に基づく価値判断が中心であるため |
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、個別の案件ごとに資料の信頼性や市場の状況を踏まえて判断する必要があります。
第9段階:鑑定評価額の決定
要点
試算価格の調整を経て、最終的に鑑定評価額を決定する段階です。
鑑定評価額の決定に当たっては、試算価格又は試算賃料の調整の結果を踏まえ、対象不動産の鑑定評価額を決定しなければならない。鑑定評価額は、依頼目的及び条件に照らして適切であるか否かについての最終的な検討を経て決定すべきである。
― 不動産鑑定評価基準 総論第8章
鑑定評価額の決定にあたっては、以下の最終確認を行います。
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 依頼目的との整合性 | 決定しようとする鑑定評価額が、依頼目的に照らして適切か |
| 条件設定との整合性 | 設定した条件を前提とした場合に、鑑定評価額が妥当か |
| 価格の種類との整合性 | 求めるべき価格の種類(正常価格等)に照らして、鑑定評価額が適切か |
| 市場の実態との整合性 | 鑑定評価額が市場の実態から著しく乖離していないか |
鑑定評価額は、不動産の経済価値についての鑑定士の最終的な専門的判断です。試算価格の調整結果を機械的に適用するのではなく、鑑定評価のプロセス全体を振り返り、総合的な見地から決定するものです。
鑑定評価報告書の作成
鑑定評価額の決定後、その結果を依頼者に報告するために鑑定評価報告書を作成します。これは総論第9章で詳細に規定されています。
鑑定評価報告書には、鑑定評価額だけでなく、評価の前提条件、分析の過程、手法の適用結果、調整の考え方など、鑑定評価のプロセス全体を記載しなければなりません。報告書の作成を通じて、鑑定評価の透明性と説明責任を確保する趣旨です。
鑑定評価の手順と基準全体の関係
鑑定評価の手順を理解することは、基準全体の構造を理解することに直結します。基準の各章は、鑑定評価の手順に沿って配置されているからです。
| 手順の段階 | 対応する基準の章 | 内容 |
|---|---|---|
| 前提知識 | 総論第1章(基本的考察) | 鑑定評価とは何か |
| 前提知識 | 総論第2章(種別・類型) | 対象不動産の分類 |
| 前提知識 | 総論第3章(価格形成要因) | 価格を形成する要因の体系 |
| 前提知識 | 総論第4章(諸原則) | 価格形成の経済原則 |
| 第1段階 | 総論第5章(基本的事項) | 基本的事項の確定 |
| 第6段階 | 総論第6章(地域分析・個別分析) | 要因分析のプロセス |
| 第7段階 | 総論第7章(鑑定評価の方式) | 三方式の適用 |
| 第1-9段階 | 総論第8章(鑑定評価の手順) | 手順全体の規定 |
| 報告書作成 | 総論第9章(鑑定評価報告書) | 報告書の記載事項 |
このように、基準の各章を鑑定評価の手順の中に位置づけて理解することで、なぜその章がその位置にあるのか、各章がどのように相互に関連しているのかを体系的に把握できるようになります。
試験での出題ポイント
短答式試験
| 出題テーマ | 出題パターン |
|---|---|
| 手順の順序 | 9段階(10段階)の順序を正確に記憶しているか。順序を入れ替えた選択肢の正誤判定 |
| 実地調査の原則 | 「原則として実地調査を行わなければならない」の理解 |
| 資料の3分類 | 確認資料・要因資料・事例資料の区別を正確に把握しているか |
| 試算価格の調整の定義 | 「再吟味」「説得力に係る判断」というキーワードの正確な理解 |
| 鑑定評価額の決定 | 試算価格の平均ではなく、説得力の判断に基づくことの理解 |
特に注意すべき引っかけパターン
- 「鑑定評価の手順において、資料の収集は対象不動産の確認の前に行う」(正しくは確認が先)
- 「試算価格の調整とは、各試算価格の単純平均を求めることである」(正しくは説得力に係る判断)
- 「対象不動産の実地調査は、鑑定評価の任意的なプロセスである」(正しくは原則必須)
論文式試験
- 鑑定評価の手順全体の説明: 各段階の内容を簡潔に述べ、手順が段階的・累積的であることの意義を論じる
- 試算価格の調整の意義と方法: なぜ調整が必要なのか、調整において何を考慮すべきかを体系的に論述する
- 基本的事項の確定と手順全体の関係: 基本的事項の確定が後続の手順にどのような影響を与えるかを論じる
- 鑑定評価の手順と基準の各章の対応関係: 基準全体の構造を手順との関連で説明する
暗記のポイント
ポイント1: 9段階(10段階)の順序を正確に暗記する
鑑定評価の手順の順序は、正確に記憶する必要があります。以下の略称で覚えましょう。
「基・依・処・確・収・検・方・調・決(報)」
| 略称 | 正式名称 |
|---|---|
| 基 | 基本的事項の確定 |
| 依 | 依頼受付時の確認等 |
| 処 | 処理計画の策定 |
| 確 | 対象不動産の確認 |
| 収 | 資料の収集及び整理 |
| 検 | 資料の検討及び価格形成要因の分析 |
| 方 | 鑑定評価の方式の適用 |
| 調 | 試算価格の調整 |
| 決 | 鑑定評価額の決定 |
| (報) | 鑑定評価報告書の作成 |
ポイント2: 手順と基準の各章の対応関係を意識する
手順の各段階が基準のどの章に対応するかを理解しておくと、基準全体の体系的理解が深まります。特に以下の対応関係は重要です。
- 基本的事項の確定 → 総論第5章
- 地域分析・個別分析 → 総論第6章
- 鑑定評価の方式の適用 → 総論第7章
- 鑑定評価報告書の作成 → 総論第9章
ポイント3: 試算価格の調整の定義を正確に覚える
「再吟味」と「説得力に係る判断」は、試算価格の調整の定義における最重要キーワードです。「各試算価格の再吟味を行い、さらに各試算価格が有する説得力に係る判断を行い」という表現を正確に暗記してください。
ポイント4: 資料の3分類を正確に区別する
| 資料の種類 | 役割 |
|---|---|
| 確認資料 | 対象不動産を「確認」するための資料 |
| 要因資料 | 価格形成「要因」の分析に必要な資料 |
| 事例資料 | 手法適用に必要な「事例」の資料 |
それぞれの名称と役割が対応していることを意識すると、混同を防げます。
ポイント5: 鑑定評価額の決定が「最終的な専門的判断」であることを理解する
鑑定評価額の決定は、試算価格を機械的に処理した結果ではなく、鑑定士の専門的な判断に基づく最終的な結論です。依頼目的、条件設定、市場の実態等との整合性を最終確認した上で決定するものであることを理解してください。
まとめ
本記事では、不動産鑑定評価基準・総論第8章「鑑定評価の手順」の要点を整理しました。
- 鑑定評価の手順は、基本的事項の確定から鑑定評価額の決定まで9段階(報告書作成を含めると10段階)の段階的・累積的なプロセスです
- 対象不動産の確認(第4段階)では、原則として実地調査を行わなければなりません。物的確認と権利の態様の確認を行い、実態を把握します
- 資料の収集(第5段階)では、確認資料・要因資料・事例資料の3種類の資料を可能な限り収集し、その信頼性を吟味します
- 試算価格の調整(第8段階)は、各試算価格の「再吟味」と「説得力に係る判断」を行うプロセスであり、単純平均ではありません
- 鑑定評価額の決定(第9段階)は、依頼目的・条件設定・市場の実態との整合性を最終確認した上で行う、鑑定士の最終的な専門的判断です
- 鑑定評価の手順を理解することは、基準全体の構造を理解することに直結します。各章が手順のどの段階に対応するかを意識することで、基準の体系的理解が深まります
鑑定評価の全体的な流れについては不動産鑑定評価の流れを、三方式の各手法の詳細については鑑定評価の3手法を徹底比較もあわせてご覧ください。