/ 鑑定評価基準・理論解説

不動産鑑定における公共事業の用地取得と補償

道路・公園・河川などの公共事業で土地が収用される場合の補償額はどう決まる?正常な取引価格を基礎とする原則、当該事業の影響を排除すべき理由、地価公示の規準、残地補償や区分地上権の補償まで、用地鑑定の特殊性を整理します。

公共事業と不動産鑑定

公共事業の用地取得とは、道路・鉄道・公園・河川等の公共施設の整備のために、国や地方公共団体等が民間から土地を取得することです。用地取得の対価(補償額)の算定に不動産鑑定評価が活用されます。


公共用地の補償体系

補償の種類

補償の種類 内容
土地の補償 取得する土地の対価
建物等の補償 移転又は取壊しに対する補償
営業補償 営業上の損失に対する補償
残地補償 残された土地の価値減少に対する補償
その他の補償 移転雑費、仮住居費用等
道路を新しく通すための用地取得で生じる補償を、一つの敷地の情景で示した図。取得する土地には土地の補償、移転する建物には建物等の補償、休業する店には営業補償、残された土地には残地補償、引っ越しにはその他の補償が生じることがわかる。

用地取得で生じる補償

補償基準

公共事業の補償は、「公共用地の取得に伴う損失補償基準」等に基づいて行われます。


土地の補償額と鑑定評価

正常価格の適用

公共事業の用地取得に伴う土地の補償額は、原則として正常価格(正常な取引価格)を基礎として算定されます。

取得する土地に対しては、正常な取引価格をもって補償するものとする。

― 公共用地の取得に伴う損失補償基準

正常価格の求め方

土地の正常価格は、取引事例比較法を中心に、収益還元法、原価法を適用して求めます。地価公示の標準地価格も参考にします。


用地鑑定の特殊性

事業の影響の排除

公共事業の用地鑑定においては、当該公共事業の影響を排除した価格を求める必要があります。

排除すべき影響 内容
事業認定の影響 公共事業の計画決定に伴う価格変動
開発利益の影響 公共事業による周辺地域の地価上昇
事業損失の影響 公共事業の存在による価格下落
公共事業の用地鑑定で当該事業の影響を排除する考え方を、地価の推移の線と事業の場面で示した図。計画の決定や事業の進行に伴う開発利益による上昇や事業損失による下落を除いた、事業の影響を排除した価格を補償の基礎にすることがわかる。

事業の影響を除いた価格で補償

地価公示の活用

公共事業の用地取得においては、地価公示法に基づき、地価公示の標準地の公示価格を規準として土地の評価を行うことが求められます。


区分地上権の取得と補償

公共事業においては、土地の完全取得だけでなく、区分地上権の設定による部分的な利用も行われます。

取得の態様 補償の考え方
完全取得 土地の正常価格
区分地上権の設定 土地利用制限に対する補償
一時使用 一時使用料
公共事業での土地の取得の態様を、地上と地下を切り取った街の断面のイラストで示した図。道路用地として完全に取得する場合は土地の正常価格、地下にトンネルを通す区分地上権の設定は土地利用制限への補償、工事ヤードとしての一時使用は一時使用料になる。

取得の態様ごとの補償


残地補償

残地補償とは

公共事業により土地の一部が取得される場合、残された土地(残地)の価値が減少することがあります。この価値減少に対する補償が残地補償です。

減価の原因 内容
形状の変化 不整形地となることによる減価
面積の減少 面積減少による利用効率の低下
接道条件の変化 接道状況の悪化
環境の変化 道路建設等に伴う環境悪化

試験での出題ポイント

出題パターン 正しい理解
補償の基準 正常な取引価格をもって補償
事業の影響 当該公共事業の影響を排除した価格
地価公示の活用 公示価格を規準として評価
残地補償 残地の価値減少に対する補償

まとめ

公共事業の用地取得に伴う補償は、正常な取引価格を基礎として行われ、当該公共事業の影響を排除した価格を求めることが特殊性です。地価公示の公示価格を規準とし、残地補償や区分地上権の補償も考慮します。

正常価格の成立要件、区分地上権の評価、地価公示と鑑定評価基準の関係と併せて理解してください。

#公共事業 #公共用地 #正常価格 #用地取得 #補償

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