/ 鑑定評価基準・理論解説

不動産鑑定における利回り法の適用と計算例

継続賃料を求める利回り法の仕組みを解説。「基礎価格×継続賃料利回り+必要諸経費等」の計算式、積算法との違い(期待利回りvs継続賃料利回り)、継続賃料利回りの算定方法、基礎価格の変動と賃料の関係を宅地・建物の数値例つきで整理。

利回り法とは

不動産鑑定評価における利回り法とは、継続賃料を求める手法の一つです。基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た純賃料に、必要諸経費等を加算して試算賃料を求める方法です。

利回り法は、積算法の考え方を継続賃料に応用したものであり、不動産の価格の変動に着目して賃料を求める点が特徴です。


利回り法の基本算式

$$利回り法による賃料 = 基礎価格 × 継続賃料利回り + 必要諸経費等$$
構成要素意味
基礎価格価格時点における対象不動産の経済価値
継続賃料利回り基礎価格に対する純賃料の割合
純賃料基礎価格 × 継続賃料利回り
必要諸経費等公租公課、維持管理費等の経費

積算法との違い

利回り法と積算法は算式の構造は同じですが、用いる利回りの性質が異なります。

項目積算法利回り法
求める賃料新規賃料継続賃料
用いる利回り期待利回り継続賃料利回り
基礎価格新規契約時の価格価格時点の価格
利回りの性格新規投資の期待収益率既存の賃貸借関係における利回り

継続賃料利回りとは

意義

継続賃料利回りは、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を基礎として、価格時点における利回りを求めたものです。

$$r_c = \frac{直近合意時点の純賃料}{直近合意時点の基礎価格}$$

この直近合意時点の利回りを基礎として、その後の不動産価格の変動や賃料水準の変動を考慮して、価格時点における継続賃料利回りを判定します。

継続賃料利回りと期待利回りの関係

項目期待利回り継続賃料利回り
基準時点新規契約時直近合意時点を基礎
市場参加者不特定多数特定の当事者
変動の反映市場の期待を反映既存契約の経緯を反映
水準市場動向に連動遅行性を持つ傾向

計算例

宅地(地代)の場合

前提条件

項目直近合意時点価格時点
基礎価格(更地価格)4,000万円5,000万円
純賃料100万円/年
公租公課40万円/年50万円/年
支払賃料140万円/年

継続賃料利回りの算定

$$直近合意時点の利回り = 100万円 ÷ 4,000万円 = 2.5%$$

この2.5%を基礎として、不動産価格の変動等を考慮して価格時点の継続賃料利回りを判定します。ここでは2.5%を継続するものとします。

利回り法による賃料の算定

$$純賃料 = 5,000万円 × 2.5% = 125万円/年 利回り法による賃料 = 125万円 + 50万円 = 175万円/年 月額 = 175万円 ÷ 12 ≒ 14.6万円/月$$

建物及びその敷地(家賃)の場合

前提条件

項目直近合意時点価格時点
基礎価格8,000万円8,500万円
純賃料320万円/年
必要諸経費等380万円/年400万円/年

計算

直近合意時点の利回り = 320万円 ÷ 8,000万円 = 4.0%
純賃料(価格時点)= 8,500万円 × 4.0% = 340万円/年
利回り法による賃料 = 340万円 + 400万円 = 740万円/年
月額 = 740万円 ÷ 12 ≒ 61.7万円/月

利回り法の特徴

長所

長所内容
不動産価格の変動を反映基礎価格の変動が直接賃料に反映される
客観性基礎価格は鑑定評価により客観的に把握可能
投資の観点不動産の資産価値に見合った賃料水準を示す

短所・留意点

短所・留意点内容
利回りの判定継続賃料利回りの判定に主観が入りやすい
地価と賃料の乖離地価が大幅に変動しても賃料は追随しにくい
遅行性の考慮賃料の地価に対する遅行性を利回りに反映させる必要

基礎価格の変動と賃料への影響

利回り法では、基礎価格の変動が純賃料に直接反映されます。

基礎価格の変動純賃料への影響結果
上昇増加賃料上昇
横ばい不変賃料は経費変動のみ
下落減少賃料下落

ただし、実際の継続賃料利回りは基礎価格の変動に応じて変化することもあるため、利回りの判定にはそうした変動も考慮する必要があります。


他の継続賃料手法との比較

手法着目点算定のアプローチ
利回り法不動産価格×利回り価格の変動を反映
差額配分法新規賃料との差額市場賃料水準を反映
スライド法現行賃料×変動率経済指標等の変動を反映
賃貸事例比較法類似の賃貸事例市場の実態を反映

これらの手法による試算賃料を総合的に関連づけて、最終的な継続賃料を決定します。


確認問題

利回り法は、新規賃料を求める手法である。

確認問題

利回り法で用いる継続賃料利回りは、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を基礎として求める。

確認問題

利回り法では、基礎価格が上昇すると純賃料は増加する傾向にある。


まとめ

利回り法は、基礎価格に継続賃料利回りを乗じて純賃料を求め、必要諸経費等を加算して継続賃料を算定する手法です。積算法と同じ構造ですが、継続賃料利回りという既存の賃貸借関係を反映した利回りを用いる点が特徴です。不動産価格の変動を賃料に反映させる機能を持つ一方、賃料の遅行性を適切に考慮することが求められます。

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