特別特定建築物とは?高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律での意味を図でわかりやすく解説
不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する特定建築物のうち、移動等円滑化が特に必要なものとして政令で定めるものです。つまり、誰でも入れる店や病院、高齢者施設などで、床面積2,000㎡以上の建築には建築物移動等円滑化基準への適合義務があります。
特別特定建築物とは
百貨店や病院、ホテル、図書館は、誰が来るか分からない建物です。車椅子の人も、杖をついたお年寄りも、目の見えない人も、その日初めてその建物に入ります。老人ホームのように、はじめから高齢者や障害のある人が主に使う建物もあります。バリアフリー法は、特定建築物の中からこうした建物を特別特定建築物として抜き出し、一定の大きさ以上で建てるときは基準に「適合させなければならない」と義務にしました。従業員や住人だけが使う事務所や共同住宅は、特定建築物にはなっても特別特定建築物には入りません。

誰でも入れる建物と、高齢者・障害者が主に使う建物が特別特定建築物。
政令が列挙し、事務所・共同住宅・工場は入りません
2条19号は「不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する特定建築物その他の特定建築物であって、移動等円滑化が特に必要なものとして政令で定めるもの」と定めます。施行令5条には、公立の小学校等や特別支援学校、病院、劇場や映画館、百貨店などの物品販売店、ホテルや旅館、官公署、老人ホーム、図書館、公衆浴場、飲食店、銀行などのサービス店舗、駐車場、公衆便所、公共用歩廊などが並びます。特定建築物の一覧にはある事務所、共同住宅、工場や、私立の小学校・中学校は、施行令5条にはありません。従業員や住人といった決まった人だけが使う建物は、不特定多数が使う建物ほどの配慮を法律で義務づけていない、という線引きです。
床面積2,000㎡以上の建築には、基準への適合義務がかかります
建築主等は、特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築(用途を変えて特別特定建築物にすることを含みます)をしようとするとき、建築物移動等円滑化基準に適合させなければなりません(14条1項)。施行令9条はこの規模を床面積の合計2,000㎡(公衆便所は50㎡)とし、増築・改築・用途変更ではその行為に係る部分の床面積で数えます。建てた後も、所有者・管理者・占有者はその建物を基準に適合するように維持しなければなりません(14条2項)。この適合義務は建築基準関係規定とみなされ、建築確認の審査で見られます(14条4項)。2,000㎡未満の特別特定建築物には義務はかからず、適合に努める努力義務になります(14条5項)。

1,500㎡の劇場は努力義務、2,500㎡の図書館は適合義務。
条例で厳しくすることはできますが、緩めることはできません
地方公共団体は、その地方の自然的社会的条件の特殊性により、14条1項・2項だけでは高齢者、障害者等が特定建築物を円滑に利用できるようにする目的を十分に達成できないと認める場合に、条例で三つのことができます(14条3項)。特別特定建築物に条例で定める特定建築物を追加すること、適合義務の規模を2,000㎡未満で別に定めること、建築物移動等円滑化基準に必要な事項を付加することです。どれも規制を厳しくする側です。対象から外す、規模を引き上げる、基準を緩める、という緩める側の権限は条文にありません。条例は「国の基準では足りない地方が、足りない分を足す」ための道具だからです。

条例は足すだけ。追加・引下げ・付加はできて、除外・緩和はできない。
建築主等は、特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む。)をしようとするときは、当該特別特定建築物を、移動等円滑化のために必要な建築物特定施設の構造及び配置に関する政令で定める基準(建築物移動等円滑化基準)に適合させなければならない。
出典: バリアフリー法 14条1項
実務ではこう使う
ホテル、商業施設、病院など特別特定建築物の評価では、2,000㎡以上の建築で基準への適合が確認されているかが、建築確認との関係で遵法性の確認項目になります。既存の建物に2,000㎡を超える増築や用途変更の計画があれば、スロープや車椅子用便所などの追加工事費を見込みます。東京都など条例で規模を引き下げている地域では、より小さな建物にも義務が及ぶので、条例の確認が欠かせません。
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