第一種市街地再開発事業とは?都市再開発法での意味を図でわかりやすく解説
都市再開発法第3章の規定により行われる市街地再開発事業で、施行地区内の宅地・借地権・建築物を、権利変換期日に新しい施設建築敷地と施設建築物の権利に置き換える権利変換の手続で進めるものです。つまり、地権者の権利を買い取らずに床の権利へ形を変える方式で、五つの施行者すべてが施行でき、個人施行者と組合はこの第...
第一種市街地再開発事業とは
駅前で三代続く小さな店の主人が、再開発に加わることになったとします。店と土地を売ってお金を受け取り、この街を離れるのは望んでいません。第一種市街地再開発事業では、主人は土地と店の権利を売らず、その権利がそのまま完成後のビルの一室と敷地の共有持分に置き換わります。この置き換えが権利変換で、いつ・誰に・どの床をという中身は権利変換計画に書かれ、権利変換期日に一斉に効力が生じます。権利を買い取らないので、施行者は買収資金を用意せずに事業を進められます。

権利証を手放さず、完成後の一室と敷地の持分に置き換える。
権利を買い取らず、床と敷地の権利に置き換えます
87条1項は、施行地区内の土地は権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、新たに所有者となるべき者に帰属する、と定めています。宅地の所有者には施設建築敷地の所有権(共有持分)が、借地権者と建築物の所有者には施設建築物の一部等が与えられるように、権利変換計画で定めます。建物の借家人には、家主に与えられる床の中で借家権が与えられます。金銭での買収ではなく、従前の権利がそのまま新しい権利に引き継がれるのが第一種の中心です。
手続は申出、計画、期日、明渡し、工事の順に進みます
認可の公告があると、権利変換を望まない者は公告の日から起算して30日以内に金銭給付や地区外移転を申し出ます。その期間が過ぎたら施行者は権利変換計画を定め、知事等の認可を受けます。計画に書かれた権利変換期日に土地は新所有者へ、建物は施行者へ帰属し、その後に施行者が明渡しの期限を通知して工事に入ります。工事が完了すると公告され、地権者は新しい床に入ります。第二種で使う管理処分計画や譲受け希望の申出は、第一種には出てきません。

公告から30日の申出、計画と認可、期日、明渡し、工事完了の順。
個人施行者だけは、都市計画に定めなくても施行できます
2条の2第1項は、高度利用地区、都市再生特別地区、容積率と建築面積の最低限度が定められた特定用途誘導地区、特定地区計画等区域内の宅地について所有権か借地権を有する者(その同意を得た者を含む)が、一人で又は数人共同して第一種を施行できる、と定めています。施行区域が都市計画に定められていなくても施行できるのは、この個人施行者だけです。組合は第一種の施行区域内の土地でしか施行できないので(2条の2第2項)、組合施行は6条1項により都市計画事業になります。個人施行者と組合の項は第一種だけを書いており、第二種は施行できません。
施行区域の条件は3条で、面積の下限はありません
3条は、第一種の施行区域を、市街地再開発促進区域内の土地の区域か、高度利用地区等の区域内で、耐火建築物の建築面積または敷地面積の合計がおおむね3分の1以下であり、土地の利用状況が著しく不健全で、高度利用が都市機能の更新に貢献する区域、と定めています。0.5ヘクタール以上という面積の条件は第二種の3条の2にだけあり、第一種にはありません。第一種は権利変換で地権者の権利を守りながら進める事業なので、小さな街区でも施行できるようにしていると読めます。
施行地区内の土地は、権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、新たに所有者となるべき者に帰属する。この場合において、従前の土地を目的とする所有権以外の権利は、この法律に別段の定めがあるものを除き、消滅する。
出典: 都市再開発法 87条1項
実務ではこう使う
権利変換の場面では、従前の土地建物の価額と、与えられる床の価額の両方を鑑定士が評価し、両者が釣り合うかを確かめます。評価書では、施設建築物の一部を区分所有権と敷地の地上権の共有持分の組み合わせとして扱います。従前資産の基準日は申出期間30日を経過した日で、権利変換期日ではありません。
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