沿道地区計画とは?都市計画法での意味を図でわかりやすく解説
幹線道路の沿道の整備に関する法律に基づき、沿道整備道路に接続する土地の区域で、道路交通騒音により生ずる障害を防止し、適正かつ合理的な土地利用を図るために定める地区計画等の一つです。つまり、交通量の多い道路沿いの街を、騒音を遮る建物の並べ方まで含めて一体で整える計画です。
沿道地区計画とは
国道や環状道路の沿道では、昼も夜もトラックの音が絶えず、道路に面した家では窓を開けて眠れないことがあります。そこで道路側に事務所や店舗のような窓の少ない頑丈な建物を並べ、その後ろに住宅を置いて騒音を遮る、という街の並べ方を都市計画で決めるのが沿道地区計画です。根拠は幹線道路の沿道の整備に関する法律で、都市計画法はこれを地区計画等の一つとして都市計画に定められるようにしています(12条の4第1項4号)。定めるのは市町村で、対象になるのは都道府県知事が沿道整備道路に指定した道路に接続する土地の区域です。

道路側に騒音を遮る建物を並べ、裏の住宅を守る。
騒音を遮る建物を道路側に並べて、裏の住宅を守ります
13条1項18号は、沿道地区計画を「道路交通騒音により生ずる障害を防止するとともに、適正かつ合理的な土地利用が図られるように」定めることとしています。騒音の障害を防ぐ手立ては、遮音壁を建てるだけではありません。道路に面した建物そのものを遮音に有効なものにして、その後ろの住宅を守るために、沿道地区整備計画には、建築物の高さの最低限度に加えて、建築物の間口率の最低限度や防音上・遮音上の構造の制限といった、他の地区計画にはない事項を定められます(幹線道路の沿道の整備に関する法律9条6項)。道路に面する建物が途切れずに並び、一定以上の高さがあるほど、裏側に音が回り込まないからです。緑地などの緩衝空地も同じ役目で定められます。

間口率と高さの最低限度で、音の通り道をふさぐ。
準住居地域は用途地域で、沿道地区計画は地区計画等です
同じ「道路の沿道」でも、準住居地域と沿道地区計画は仕組みが違います。準住居地域は用途地域の一つで、道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するために定めます(9条7項)。街全体の塗り分けとして、その地域に建てられる建物の種類を決める役目です。沿道地区計画は、その塗り分けの上に、特定の道路に接する区域だけを取り出して、騒音を防ぐための建物の並べ方や構造まで細かく定める計画です。守りたいものが「業務と住居の調和」か「騒音からの防護」かで目的の文が違い、定める中身も違います。
都市計画区域の中だけで、地区計画等の共通の決まりに従います
沿道地区計画は、地区計画、防災街区整備地区計画、歴史的風致維持向上地区計画、集落地区計画と並ぶ地区計画等の一つで、都市計画区域について定めます(12条の4第1項)。準都市計画区域には定められません。都市計画には種類、名称、位置及び区域を定め、区域の面積は定めるよう努めます(12条の4第2項)。案は、条例で定めるところにより、区域内の土地の所有者その他の利害関係者の意見を求めて作成します(16条2項)。沿道再開発等促進区を定める沿道地区計画は、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進を目途として定め、低層住居専用地域と田園住居地域では周辺の低層住宅の環境の保護に支障がないように定めます(13条1項18号後段)。
沿道地区計画は、道路交通騒音により生ずる障害を防止するとともに、適正かつ合理的な土地利用が図られるように定めること。
出典: 都市計画法 13条1項18号
実務ではこう使う
環状道路や国道の沿道で、道路側に細長い事務所ビルや店舗が並び、その裏に住宅が続く街並みは、沿道地区計画で誘導されたものです。鑑定評価では、道路交通騒音を環境条件のマイナス要因として見る一方、沿道地区計画で用途、高さの最低限度、壁面の位置、防音構造が決まっている土地は、それに沿った建物しか建てられないことを公法上の規制として押さえます。間口率や高さの最低限度があると小さな建物では建てられないので、敷地の規模が最有効使用に効いてきます。
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