元本と果実とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
不動産の経済価値は、交換の対価である価格と、用益の対価である賃料の二つの形で表され、この価格と賃料との間には元本と果実との間に認められる相関関係があるということです。つまり、買うときの値段と借りるときの家賃は、元手と実りのように結びついて動きます。
元本と果実とは
アパートを一棟買う人は、「いくらで売られているか」と「毎月いくら家賃が入るか」の両方を見ます。家賃がよく入る建物ほど高く売れ、高く売れる建物ほど家賃も高くなります。基準はこれを、不動産の経済価値は交換の対価である価格と用益の対価である賃料の二つの形で表され、その間には元本と果実の相関関係がある、と言います。預金という元本が大きいほど利息という果実も大きいのと同じ結びつきが、価格と賃料の間にもあります。

木に実がなるように、価格(元本)から賃料(果実)が生まれる。
価格は全期間の対価で、賃料は一部の期間の対価です
基準は、価格を交換の対価、賃料を用益の対価とだけ書いています。これは、価格は不動産を買い取る対価なので、その不動産が物理的、機能的又は経済的に消滅するまでの全期間にわたって使用収益できることの経済価値を一つの金額で表し、賃料は借りる対価なので、契約で決めた一部の期間だけ使用収益できることの経済価値を表す、と読めます。同じ一つの不動産の値打ちを、丸ごと買うか、期間を区切って借りるかで表し方を変えているだけです。だから二つは別々の物ではなく、一方が動けばもう一方も動きます。

丸ごと買えば価格、期間を区切って借りれば賃料。同じ値打ちの二つの表し方。
賃料から価格を、価格から賃料を求める手法があります
元本から果実が生まれ、果実の大きさから元本の大きさが推し量れるという結びつきを、鑑定評価の手法はそのまま使います。総論第7章の収益還元法は、賃料から生まれる純収益をもとに、その現在価値の総和として価格を求めます。積算法はその逆で、基礎価格に期待利回りを掛け、必要諸経費等を足して賃料を求めます。価格と賃料のどちらから出発しても相手側にたどり着けるのは、二つが相関関係で結ばれているからです。

賃料から価格を求める収益還元法、価格から賃料を求める積算法。
取り壊しが最有効使用でも、建物の賃料はゼロにはなりません
築年の経った建物では、取り壊して更地にするのが一番良い使い方だと判定されることがあります。それでも、いま建物が建っていて借り手が住んだり営業したりできる以上、借り手はその使用の対価を払います。各論第2章が、建物及びその敷地の正常賃料は賃貸借の契約内容による使用方法に基づく経済価値に即応して求める、と定めるのはこの意味です。この先の最有効使用の判定と、いま借りて使う対価とは、別の問いです。相関関係は価格と賃料が結びついて動くことを言うだけで、元本の最有効使用が取り壊しなら果実が消える、とまでは言っていません。
市場性のない不動産でも、経済価値を価格で表すことがあります
基準は「一般に、交換の対価である価格として表示される」と書いています。「一般に」と断るのは、売り買いの市場に出ない不動産があるからです。文化財の指定を受けた建造物や宗教建築物は市場で交換されることを前提にできませんが、保存を主眼にした評価の依頼はあります。そのときは総論第5章の特殊価格として、利用現況等を前提にした経済価値を価格で表します。交換の対価という言い方は原則であって、経済価値を貨幣額で表すという鑑定評価の仕事はそこで止まりません。
不動産の経済価値は、一般に、交換の対価である価格として表示されるとともに、その用益の対価である賃料として表示される。そして、この価格と賃料との間には、いわゆる元本と果実との間に認められる相関関係を認めることができる。
出典: 総論第1章 第2節
実務ではこう使う
貸家の評価では、実際の賃料から純収益を出して価格に還元し、逆に土地建物の価格から適正な賃料を積算して、二つを見比べます。数字が大きく食い違えば、賃料か価格のどちらかの前提を疑い直します。価格の評価と賃料の評価は別の仕事ではなく、同じ元本と果実を両側から見ています。
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