/ 鑑定理論

限定賃料とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

限定価格と同一の市場概念の下において、新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料です。つまり、隣の区画を借り増す人のように特定の借り手にだけ高い値打ちがあり、市場が相対的に限定される場面で新しく結ぶ契約の賃料です。

限定賃料とは

都心のビルの3階の一部を借りている会社が、業務拡張のため同じ階の隣の区画も借りたいとします。壁を抜いて一続きの事務所にできるこの会社にとって、隣の区画は他の借り手候補より高い値打ちがあり、相場より高い家賃を払ってでも借りる合理性があります。借り手がこの会社にほぼ絞られるので、市場が相対的に限定されます。基準はこの場面の賃料を限定賃料と呼び、限定価格と同一の市場概念の下で新たな契約において成立する賃料と定めています。価格の世界の限定価格を、賃料の世界に移したものです。

限定賃料の図解:隣の区画を借り増す会社にだけ高い値打ちがあるから、市場が限定される。

隣の区画を借り増す会社にだけ高い値打ちがあるから、市場が限定される。

例示は、隣接不動産の併合使用と経済合理性に反する分割使用です

基準が限定賃料を求めることができる場合として挙げるのは、隣接不動産の併合使用を前提とする賃貸借等に関連する場合と、経済合理性に反する不動産の分割使用を前提とする賃貸借等に関連する場合の二つです。前者は隣を借り増す場面、後者は広い土地の一部だけを借りるために残りが使いにくくなる場面です。限定価格の例示には借地権者が底地を買う場合も入っていますが、限定賃料の例示にはありません。基準に理由は書いていませんが、底地を借りるという場面がないためと考えられます。また「求めることができる場合がある」という定めなので、併合使用でも市場価値からの乖離がなければ正常賃料になります。

積算法の基礎価格は、当該宅地の限定価格です

宅地の限定賃料の鑑定評価額は、隣接宅地の併合使用又は宅地の一部の分割使用をする当該宅地の限定価格を基礎価格として求めた積算賃料と、同じ併合使用又は分割使用を前提とする賃貸借等の事例に基づく比準賃料を関連づけて決定します(各論第2章第1節)。隣を借り増す人にとっての値打ちは市場一般より高いので、その値打ちを織り込んだ限定価格を元本にしないと、増分が賃料に現れません。この基礎価格も、建物の所有を目的とする賃貸借等で契約により敷地の最有効使用が見込めないときは、最有効使用を前提とせず、当該契約条件を前提とする建付地としての価格を用います(総論第7章第2節留意事項)。

限定賃料の図解:元本も限定価格にしないと、借り増す人の値打ちが賃料に現れない。

元本も限定価格にしないと、借り増す人の値打ちが賃料に現れない。

隣接宅地の権利の態様と、事例の契約の内容を総合的に勘案します

宅地の限定賃料を求めるときは、隣接宅地の権利の態様と、当該事例に係る賃貸借等の契約の内容を総合的に勘案します(各論第2章第1節)。隣の土地が所有権なのか借地権なのか、どんな契約で持たれているかで、併合したときの値打ちや契約の安定性が変わるためです。比準に使う事例も併合使用や分割使用を前提とするものなので、その契約の内容が対象と似ているかを確かめます。この二つは限定賃料に固有の勘案事項で、継続賃料の改定で勘案する土地価格の推移や賃料改定の経緯とは別のものです。

限定賃料の図解:隣の土地がどんな権利で持たれているかで、併合の値打ちが変わる。

隣の土地がどんな権利で持たれているかで、併合の値打ちが変わる。

限定賃料とは、限定価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料(新規賃料)をいう。

出典: 総論第5章 第3節

実務ではこう使う

テナントから隣の区画も借り増ししたいと相談を受けた貸主に、併合使用による増分を織り込んだ賃料を示す場面で使います。併合使用を前提とする当該宅地の限定価格を基礎価格に積算賃料を求め、同様の事例があれば比準賃料と関連づけます。評価書には限定賃料とした理由、隣接部分の権利の態様、併記する正常賃料を書きます。

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