必要やむを得ない場合とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
近隣地域又は同一需給圏内の類似地域で集めた取引事例等の大部分が特殊な事情による影響を著しく受けていることその他の特別な事情により、それらの事例だけでは鑑定評価を適切に行えないと認められる場合です。つまり、手元の事例がほとんど使いものにならないときに、近隣地域の周辺の地域まで事例を探しに行ってよい例外の場...
必要やむを得ない場合とは
取引事例は、対象不動産と同じ近隣地域か、同じ需給圏の中の類似地域から選ぶのが原則です。ところが、地価の急騰や一社による買い集めのあとでは、集めた事例のほとんどが売り急ぎや買い進みのような特殊な事情でゆがんでいることがあります。そのときだけ、近隣地域の周辺の地域まで範囲を広げて事例を選んでよい、というのがこの場面です。基準の本文は「必要やむを得ない場合」とだけ書き、その中身は留意事項が定めています。

近隣地域と類似地域の事例が軒並み使えないとき、周辺の地域まで広げる。
定義には「大部分が」「著しく」という程度まで含まれます
留意事項の定義は、近隣地域又は同一需給圏内の類似地域で収集した取引事例等の大部分が特殊な事情による影響を著しく受けていること、その他の特別な事情により、それらの事例だけでは鑑定評価を適切に行えないと認められる場合です。選択の要件からすると、一部の事例に特殊な事情があるだけなら、事情補正で直すか、正常なものに補正できない事例を外せば済みます。周辺の地域まで広げるのは、大部分が著しくゆがんでいて、補正しても価格の指標にならないときです。取引の時点が古いことは時点修正で対応する別の問題なので、この定義には含まれていません。

一枚だけなら事情補正で直せる。大部分が著しくゆがんで初めて周辺へ。
該当すれば事例の範囲が広がり、手法は続けられます
必要やむを得ない場合に当たると、近隣地域の周辺の地域に存する不動産の事例を選択して、取引事例比較法をそのまま適用できます。基準が「同一需給圏内の類似地域等」と書くときの「等」が、この周辺の地域を指しています。事例の範囲を広げるための定めであって、取引事例比較法をあきらめるための定めではありません。周辺の地域は近隣地域とは地域要因が違うので、選んだあとは地域要因の比較を丁寧に行うことになります。
周辺の地域へ行けるのは例外で、原則の後ろに並びます
基準は事例を選ぶ範囲を三つに分けています。原則は近隣地域又は同一需給圏内の類似地域で、必要やむを得ない場合には近隣地域の周辺の地域、対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合等には同一需給圏内の代替競争不動産です。後ろの二つはそれぞれ入口となる場面が決まっていて、どちらも原則の事例が使えない、または合わないときの例外です。
この場合における必要やむを得ない場合とは、近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産について収集した取引事例等の大部分が特殊な事情による影響を著しく受けていることその他の特別な事情により当該取引事例等のみによっては鑑定評価を適切に行うことができないと認められる場合をいう。
出典: 総論第7章 第1節
実務ではこう使う
地価が急騰した地域や、大手デベロッパーの買い集めで取引の大半が特殊な事情を帯びた地域では、近隣地域の事例だけでは価格水準が読めないことがあります。そのときは評価書に、必要やむを得ない場合に該当すると判断した理由を書き、周辺の地域の事例を採用したうえで地域要因の比較を丁寧に行います。理由を書かずに遠くの事例を使うと、原則の範囲を無視したと見られます。
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