人文的条件とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
その土地の持つ諸特性に照応する条件のうち、人の営みや人の決めごとが作っている条件です。つまり、駅までの距離、道路、街並み、行政区域のように、その不動産が与件として引き受けている人の側の事情で、自然が決めた地盤や地形(自然的条件)と対になります。
人文的条件とは
家を建てる土地を見に行くと、地盤が固いか、水はけはよいか、という自然のことと並んで、駅から何分か、前の道路は何メートルか、まわりは住宅街か、用途地域は何か、を必ず確かめます。この後半の、人の営みや人の決めごとが作っている事情が人文的条件です。基準は、不動産は土地の持つ諸特性に照応する特定の自然的条件及び人文的条件を与件として利用される、と言います。与件とは、あらかじめ与えられていて使う側が選び直せない条件のことです。駅も道路も用途地域も人が作ったものですが、この土地の買い手には動かせず、与えられたものとして働きます。

駅も道路も用途地域も人が作った事情で、この土地には与えられた条件として働く。
人文的条件は、人文的特性が一つの不動産に現れたものです
基準は、土地の特性と不動産の条件を分けて書きます。用途の多様性や社会的及び経済的位置の可変性は、どの土地にも当てはまる人文的特性で、土地一般の性質です。その性質が一つの不動産に現れると、用途地域は住居地域、駅までは徒歩10分、という具体的な人文的条件になります。特性は教科書に書いてある土地の性質、条件はその土地の現地に立っている札、と考えると、基準が「照応する」と言う対応が見えてきます。地盤や地形のような自然的条件も、同じように自然的特性に照応します。
人文的条件は変わりやすく、変われば有用性も変わります
人が作った条件は、人の手で変わります。道路が広がり、駅ができ、用途地域が書き換えられれば、その土地でできることが変わり、役立ち方も変わります。基準は「これらの諸条件の変化に伴って、その利用形態並びにその社会的及び経済的な有用性は変化する」と定めます。土地そのものは動かず増えもしませんが、土地を基盤とする不動産の使われ方と有用性は、条件しだいで動くものです。固定的で硬直的なのは自然的特性の話で、利用形態と有用性は固定的ではありません。

用途地域という人の決めごとが変わると、同じ土地に建てられる物が変わる。
条件の全部又は一部を共通にする不動産が、地域を作ります
同じ駅を使い、同じ道路に面し、同じ街並みの中にある家々は、一つの住宅地域になります。基準は、不動産は自然的条件及び人文的条件の全部又は一部を共通にすることによって、他の不動産とともにある地域を構成する、と定めます。「全部又は一部」なので、隣の家と道路の幅が違っていても、駅と街並みが同じなら同じ地域の一員です。人文的条件は、一つの不動産の与件であると同時に、どこまでが同じ地域かを区切る手がかりでもあります。
価格形成要因は、同じ事情を価格への効き方で整理した言葉です
総論第3章の価格形成要因は、効用、相対的稀少性、有効需要に影響を与える要因で、一般的要因、地域要因、個別的要因に分けます。第1章の人文的条件は、一つの不動産が与件として引き受けている事情を指す言葉で、第3章はその事情が価格にどう効くかを要因として整理し直します。同じ「駅までの距離」が、第1章では条件、第3章では地域要因や個別的要因として現れます。
不動産は、この土地の持つ諸特性に照応する特定の自然的条件及び人文的条件を与件として利用され、その社会的及び経済的な有用性を発揮するものである。
出典: 総論第1章 第2節
実務ではこう使う
現地調査では、前面道路の幅と種類、最寄り駅までの実際の距離、上下水道とガスの引込み、用途地域と建ぺい率・容積率を一つずつ確かめて書き取ります。役所で都市計画図を写し、法務局で公図を取るのも、人文的条件を集める作業です。書き落とした条件が一つあるだけで、最有効使用の判定が変わることがあります。
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