/ 鑑定理論

実現性とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

設定された想定上の条件を実現するための行為を行う者の事業遂行能力等を勘案した上で、その条件が実現する確実性が認められることです。つまり、「そうなったものとして」置いた前提について、やる人にやる意思と力があり、本当にそうなると言えることです。

実現性とは

「地下の古い基礎杭を撤去したものとして値段を出してほしい」と頼まれたとします。撤去後の値段は、撤去が本当に行われて初めて意味を持ちます。だから鑑定士は、撤去する人が誰で、その人に工事をやり切る意思と力があるかを確かめます。この、条件を実現する人の事業遂行能力などから見て本当に実現すると言えることが実現性で、合法性と並んで想定上の条件に付く要件です。

実現性の図解:撤去する人に意思と力があって初めて、撤去後の前提が実現する。

撤去する人に意思と力があって初めて、撤去後の前提が実現する。

実現性は、実現する人の事業遂行能力等から確かめます

定義の中心は、条件を実現するための行為を行う者の事業遂行能力等を勘案することです。基準はこの「事業遂行能力等」の中身を細かく列挙していませんが、個別的要因についての想定なら、現況を変える権限を持つ所有者などに変更する意思があるか、着手しているかに加え、変更を行う資力があるかも、この能力等に含まれると読めます。意思だけあって資金がなければ工事は進まず、撤去後の前提は絵に描いた餅になるからです。逆に、そもそも土壌汚染があるかどうかも分かっていない段階で「汚染は無いものとして」と置く想定は、無いことを実現する行為も、それを行う人も存在せず、確実性を確かめようがないので実現性を欠きます。

実現性の図解:汚染があるかどうかも分からない前提は、実現する確実性を確かめようがない。

汚染があるかどうかも分からない前提は、実現する確実性を確かめようがない。

地域要因の想定は、公的機関の担当部局に直接確かめます

前面道路の拡幅や用途地域の変更のような地域要因は、行為を行う者が市や県といった公的機関です。そこで基準は、地域要因について想定上の条件を置く場合、その実現に係る権能を持つ公的機関の担当部局から、条件が実現する確実性について直接確認すべきとしています。都市計画道路として計画決定されている、という事実だけでは、いつ着工しいつ完成するかは分からないので、実現の確実性は確かめられていません。用地買収の進み具合や着工の予定を担当部局に聞いて、初めて確実性を言えます。

実現性の図解:計画決定の図面だけでは足りず、担当部局に直接聞く。

計画決定の図面だけでは足りず、担当部局に直接聞く。

実現性は想定上の条件の要件で、調査範囲等条件には要りません

調査範囲等条件は、土壌汚染の有無のように確かめにくい要因を調べる範囲を限る条件で、要件は鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないことです。汚染を「除去したものとして」置くわけではないので、除去の実現性を確かめる必要はありません。一方、造成や建築の工事完了を前提にする未竣工建物等鑑定評価は対象確定条件ですが、発注者の資金調達能力等の観点から工事完了の実現性が高いと判断されなければならないと、別に定められています。同じ「実現性」という言葉でも、どの条件に付く要件かで確かめる中身が違います。

実現性とは、設定された想定上の条件を実現するための行為を行う者の事業遂行能力等を勘案した上で当該条件が実現する確実性が認められることをいう。

出典: 総論第5章 第1節

実務ではこう使う

汚染除去や基礎杭撤去を前提に評価するなら、工事の発注状況、施工業者、工事費の資金手当てを依頼者に確かめ、依頼契約書に条件とその根拠を書きます。用途地域の変更や道路拡幅を前提にするなら、市の都市計画課や道路課に決定の見込みと時期を直接聞き、聞き取りの内容を評価書に残します。

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