/ 鑑定理論

合法性とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

公法上及び私法上の諸規制に反しないことです。つまり、想定上の条件として置く前提が、都市計画法や建築基準法のような法律にも、契約や地役権のような当事者間の約束にも、反していないことです。

合法性とは

「隣の通路をふさいで建物を増築したものとして値段を出してほしい」と頼まれたとします。増築が建築基準法の容積率に収まっていても、その通路を隣の人が通る権利(通行地役権)が契約で決まっていれば、ふさぐことはできません。法律に反する前提も、約束に反する前提も、現実には起こり得ないので、それを前提にした値段は読み手を誤らせます。想定上の条件がこうした規制に反していないことが合法性で、実現性と並ぶ要件です。

合法性の図解:前提が法律にも契約にも反していないか、両方の本を開いて確かめる。

前提が法律にも契約にも反していないか、両方の本を開いて確かめる。

合法性は、公法上の規制と私法上の規制の両方で見ます

公法上の規制は、都市計画法の用途地域や建築基準法の建蔽率・容積率のように、国や自治体が定める決まりです。私法上の規制は、賃貸借契約、通行地役権、隣地との取り決めのように、当事者どうしの約束から生じる制約です。基準が「公法上及び私法上の」と両方を書いているのは、役所の決まりに触れなくても、契約上できないことを前提にすれば、やはり起こり得ない世界の値段になるからです。合法性を確かめるときは、法令集と契約書の両方を開きます。

合法性の図解:役所の決まりに触れなくても、隣の人の通る権利をふさぐ前提は置けない。

役所の決まりに触れなくても、隣の人の通る権利をふさぐ前提は置けない。

合法性は、実現性と並んで想定上の条件に付く要件です

想定上の条件は、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかの観点に加え、特に実現性と合法性の観点から妥当でなければなりません。実現性は「本当にそうなるか」、合法性は「そうしてよいか」を見ています。工事の契約も資金もそろっていて実現性があっても、その工事が法令に反していれば置けませんし、法令上は問題なくても誰もやる見込みがなければ置けません。合法性は条件の妥当性を判断する要件であって、条件設定の意義である妥当する範囲・責任の範囲と比べて決めるものではありません。

未竣工建物等鑑定評価では、許認可等の取得を確かめます

対象確定条件の妥当性は、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかの観点で確認し、実現性や合法性までは原則として求められません。ただし、建築工事の完了を前提にする未竣工建物等鑑定評価では、法令上必要な許認可等が取得されていることと、発注者の資金調達能力等から見て工事完了の実現性が高いことが求められます。基準はここで合法性の語を使っていませんが、許認可等の取得は法令に反していないことの確認なので、合法性と同じ観点と読めます。完成していない建物の値段は、建ててよい建物であって初めて意味を持つからです。

合法性とは、公法上及び私法上の諸規制に反しないことをいう。

出典: 総論第5章 第1節

実務ではこう使う

汚染除去を前提にするなら土壌汚染対策法上の手続に反しないか、増築を前提にするなら建築確認が取れる計画か、隣地の通路をふさぐ前提なら地役権や契約に反しないかを確かめます。想定上の条件を書く評価書には、その前提が公法・私法のどの規制と関係し、なぜ反しないと判断したかを残します。

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