未竣工建物等鑑定評価とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
造成に関する工事が完了していない土地や、建築に係る工事が完了していない建物について、その工事の完了を前提として鑑定評価の対象とする条件の鑑定評価です。つまり、価格時点にはまだ出来上がっていない土地や建物を、出来上がって使える状態になったものとして評価します。
未竣工建物等鑑定評価とは
マンションの建築中に、銀行が融資の担保として「完成したらいくらの建物になるか」を知りたがる場面があります。現地にはまだ鉄骨と足場しかありません。それでも、工事が終わって使える状態になった建物を対象として、今の時点で評価する。この条件を付けた鑑定評価が未竣工建物等鑑定評価です。名前は「建物等」ですが造成が終わっていない土地も対象で、対象確定条件の一つです。

まだ足場だけの現場でも、工事が終わって使える状態を対象にする。
対象は、造成が終わらない土地と、建築が終わらない建物です
基準は「造成に関する工事が完了していない土地」と「建築に係る工事が完了していない建物」の両方を掲げ、建築工事には新築だけでなく増改築等も含むと書いています。面積や形の変更を伴う造成工事の完了を前提にする場合も、ここに入ります。基準はこれを対象確定条件の一つとして掲げており、個別的要因についての想定上の条件には置いていません。工事が終わった後の姿が、対象不動産そのものの範囲や状態を決めるからだと読めます。
完了を前提に置くのは価格時点で、価格時点は動かしません
留意事項は、価格時点において工事が完了し、その使用収益が可能な状態であることを前提に評価する、と書いています。評価する日を工事完了の予定日までずらすのではなく、今日という価格時点に「完成して使える」という条件を置くのです。価格時点を先に置く将来時点の鑑定評価は、価格形成要因の把握から最有効使用の判定まですべて予測になるため原則として行うべきでないとされる、別の話です。未竣工建物等鑑定評価は、今日の市場と今日の資料で、完成した建物を値付けするものです。

評価する日を先にずらすのではなく、今日に「完成している」という条件を置く。
設計図書等と請負契約書等を集め、許認可と実現性を確かめます
建物がまだ無いので、竣工後の建物の物的確認は設計図書等で、権利の態様の確認は請負契約書等で行います。基準はこれらを収集しなければならないと定め、さらに、法令上必要な許認可等が取得され、発注者の資金調達能力等の観点から工事完了の実現性が高いと判断されなければならない、と続けます。鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかという、対象確定条件に共通の妥当性の検討に「加え」て求められる要件です。完成するかどうか自体が不確かなものを、完成したものとして値付けする条件だからこそ、要件が重くなっています。

図面と契約書で建物の姿と権利を確かめ、許可と資金で本当に建つかを確かめる。
未完成だからといって、特殊価格にはなりません
基準は、特殊価格を文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした経済価値を表示する価格と定めています。未竣工建物等鑑定評価は工事が終わって使える状態を前提にするので、対象は市場で普通に取引される不動産で、未完成という理由で特殊価格を選ぶ場面ではありません。基準はこの場合に求める価格の種類を直接定めていませんが、市場性を有する不動産として評価する以上、基本的には正常価格を求めることになると読めます。証券化対象不動産の鑑定評価では現況と異なる条件の設定が原則として禁じられていますが、各論第3章第2節に定める要件を満たす場合には未竣工建物等鑑定評価を行うことができます。
造成に関する工事が完了していない土地又は建築に係る工事(建物を新築するもののほか、増改築等を含む。)が完了していない建物について、当該工事の完了を前提として鑑定評価の対象とすること(この場合の鑑定評価を未竣工建物等鑑定評価という。)。
出典: 総論第5章 第1節
実務ではこう使う
分譲マンションの建築中に、融資の担保評価や販売価格の検討で依頼されます。設計図書、建築確認済証、工事請負契約書、資金計画を取り寄せ、発注者と施工者の能力を確かめたうえで評価に入ります。評価書には「価格時点において工事が完了しているものとして」という条件と、現況は未竣工であることを併記します。
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