/ 鑑定理論

条件が設定されない場合の価格等の参考事項とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

対象確定条件、想定上の条件又は調査範囲等条件を設定して鑑定評価を行ったときに、必要があると認められる場合に鑑定評価報告書に記載する、その条件が設定されなかったとしたときの価格等の参考情報です。つまり「条件なしならいくらか」の添え書きで、書くかどうかは必要に応じて決めます。

条件が設定されない場合の価格等の参考事項とは

建物が建っている土地を「建物が無いものとして」評価してほしい、隣の土地と一体で使うと想定して評価してほしい、といった依頼では、条件付きの値段が鑑定評価額になります。読む人にとっては、条件のない今のままならいくらなのかも知りたいことがあります。そこで報告書には、条件を付けた内容とそれが妥当だと判断した根拠を必ず書いたうえで、必要があれば条件なしの価格の目安を参考として添えます。この添え書きが、条件が設定されない場合の価格等の参考事項です。

条件が設定されない場合の価格等の参考事項の図解:条件付きの鑑定評価額の脇に、条件なしならいくらかを参考として添える。

条件付きの鑑定評価額の脇に、条件なしならいくらかを参考として添える。

条件の内容と、妥当だと判断した根拠は必ず書きます

対象確定条件、依頼目的に応じて設定した地域要因や個別的要因についての想定上の条件、調査範囲等条件のどれについても、その条件の内容と、評価における取扱いが妥当なものであると判断した根拠を明らかにします。条件は評価額を大きく動かすので、なぜその条件でよいのかが読めなければ、読む人は額を信用できません。土壌汚染について法令上の規制の調査だけを行う調査範囲等条件を付けたときも、限られた調査で分かった事実を書くだけでは足りず、その取扱いが妥当だと判断した根拠まで書きます。

参考事項は、必要があると認められるときに記載します

基準は「必要があると認められるときは」と前置きして、条件が設定されない場合の価格等の参考事項を記載すべきだと定めます。根拠の記載は必ず、参考事項は必要なときに、という二段の構えです。必要かどうかは、依頼目的と、鑑定評価書を読む利用者が条件なしの額を知る必要があるかに照らして鑑定士が判断します。

条件が設定されない場合の価格等の参考事項の図解:根拠の欄は必ず埋め、参考事項の欄は必要があるときに埋める。

根拠の欄は必ず埋め、参考事項の欄は必要があるときに埋める。

想定上の条件の妥当性は、三つの観点で確かめます

総論第5章は、想定上の条件を設定するときは、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかの観点に加え、特に実現性及び合法性の観点から妥当なものでなければならない、と定めます。報告書の根拠の欄には、この三つの観点でなぜ妥当と判断したのかを書きます。対象確定条件と調査範囲等条件についても、利用者の利益を害するおそれがないことが設定の前提です。

対象確定条件、依頼目的に応じ設定された地域要因若しくは個別的要因についての想定上の条件又は調査範囲等条件についてそれらの条件の内容及び評価における取扱いが妥当なものであると判断した根拠を明らかにするとともに、必要があると認められるときは、当該条件が設定されない場合の価格等の参考事項を記載すべきである。

出典: 総論第9章 第2節

実務ではこう使う

隣接地との一体利用を想定して評価するよう依頼されたとき、鑑定士は評価書にその想定が実現性と合法性を備え、利用者の利益を害さない理由を書きます。依頼者が「条件無しならいくらか」を判断材料にしたいと言えば、そのときは参考事項として現況のままの価格の目安を添えます。参考事項を書くかどうかは、依頼目的と利用者にとって必要かで決めます。

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