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従前資産の価額とは?都市再開発法での意味を図でわかりやすく解説

権利変換計画に記載する、権利者が施行地区内に持っている宅地、借地権、建築物の価額です。つまり、権利変換を希望しない申出の期間30日を経過した日を基準に、近傍類似の取引価格等を考慮して定める相当の価額で、新しい床の配分と補償金の元になる数字です。

従前資産の価額とは

再開発では、地区内の一人ひとりの土地や建物を、新しいビルの床や敷地の持分に置き換えます。誰がどれだけの床を受け取るかを決めるには、まず今持っているものの値段を、同じ日、同じ考え方で決めなければなりません。この値段が従前資産の価額で、権利変換計画に一人ずつ書き込まれます。床を受け取らず金銭で受け取る人への補償金も、この価額から計算します。

従前資産の価額の図解:近くの取引を手がかりに、今持っている土地と建物の相当の価額を決める。

近くの取引を手がかりに、今持っている土地と建物の相当の価額を決める。

近傍類似の取引価格等を考慮して定める、相当の価額です

80条1項は、権利変換計画に記載する宅地、借地権、建築物の価額を、近傍類似の土地、近傍同種の建築物又はこれらに関する同種の権利の取引価格等を考慮して定める相当の価額とすると定めています。取引価格そのものではなく、それを考慮して定める相当の価額です。取引の値段は売り急ぎや個別の事情で上下するので、そのまま当てはめるのではなく、周りの取引を手がかりに妥当な値段を判断します。条文の「取引価格等」の等の中身は書かれていませんが、賃料や収益のような値段以外の手がかりも含むと読めます。

基準日は、権利変換を希望しない申出の期間を経過した日です

価額は、71条1項の申出の期間である30日を経過した日における価額です(80条1項)。組合施行なら組合設立認可の公告から、再開発会社なら施行認可の公告から、それぞれ30日を経過した日が基準日です。この日を境に、権利変換を受けるか金銭で受け取るかの申出が締め切られ、誰の何を評価するかが確定します。条文に理由は書いていませんが、申出の期限と価額の基準日を同じ日に揃えているのは、そのためと考えられます。

従前資産の価額の図解:基準日は、権利変換を希望しない申出の期間30日を経過した日。

基準日は、権利変換を希望しない申出の期間30日を経過した日。

意見書で争い、採択されなければ収用委員会に裁決を申請できます

施行者は権利変換計画を2週間縦覧に供し、権利者は縦覧期間内に施行者に意見書を提出できます(83条1項・2項)。施行者は意見を採択するときは計画を修正し、採択しないときはその旨を通知します。価額について不採択の通知を受けた者は、通知を受けた日から起算して30日以内に、収用委員会にその価額の裁決を申請できます(85条1項)。裁決の申請は事業の進行を止めず(同条2項)、裁決や訴えの結果は与えられる床や敷地の持分には影響しません(同条4項)。争えるのは値段だけで、床の配分をやり直すことはありません。

従前資産の価額の図解:意見書が採択されなければ、30日以内に収用委員会へ裁決を申請できる。

意見書が採択されなければ、30日以内に収用委員会へ裁決を申請できる。

全員同意なら80条によらず、補償金は物価修正と利息付きです

110条1項は、権利者と参加組合員等の全ての同意を得たときは、80条などの規定によらないで権利変換計画を定めることができると定めています。条文に理由は書いていませんが、全員が納得しているなら基準日や算定の方法を法律で縛る必要がないためと考えられます。床を与えられない者への補償金は、80条の相当の価額に、基準日から権利変換計画の認可の公告の日までの物価の変動に応ずる修正率を乗じ、公告の日から支払日までの法定利率による利息を付して、権利変換期日までに支払います(91条1項)。基準日から支払日までの時間の経過分を上乗せする仕組みです。

第七十三条第一項第三号、第八号、第十八号又は第十九号の価額は、第七十一条第一項又は第四項(同条第五項において読み替えて適用する場合を含む。)の規定による三十日の期間を経過した日における近傍類似の土地、近傍同種の建築物又は近傍類似の土地若しくは近傍同種の建築物に関する同種の権利の取引価格等を考慮して定める相当の価額とする。

出典: 都市再開発法 80条1項

実務ではこう使う

従前資産の価額の算定は、再開発における鑑定士の中心的な仕事です。基準日を価格時点とし、近傍類似の取引事例を基に、借地権や借家権付きといった権利の態様を反映した価額を求めます。権利者相互の均衡が問われるので、一人分の評価ではなく地区全体で釣り合いの取れた評価書を作ります。

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