継続賃料利回りとは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
利回り法で基礎価格に乗じる利回りで、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえ、期待利回り、契約締結時及びその後の各賃料改定時の利回り、基礎価格の変動の程度、類似の賃貸借等の事例の利回りを総合的に比較考量して求めます。つまり、前回合意したときの元本に対する純賃料の率を出発点に、その後の事情...
継続賃料利回りとは
20年前の地代の合意を思い出してみます。当時の更地価格5,000万円に対して年の純賃料150万円で貸主と借主が折り合ったなら、元本に対する率は3%です。今、新しく土地を貸すときに市場が求める率は、これと同じとは限りません。しかし続いている契約では、前回の合意を無視して今の率だけで決めるわけにはいきません。継続賃料利回りは、この前回の3%を出発点に、その後の地価の動きや周辺の事例の利回りを見比べて決める率で、利回り法で基礎価格に乗じます。

前回の合意で元本に対して何パーセントの純賃料だったかが出発点。
出発点は、直近合意時点の基礎価格に対する純賃料の割合です
基準は、継続賃料利回りを「直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえ」て求めると定めています。価格時点の割合ではなく、前回合意した時点の元本と純賃料の関係が起点です。基準に理由は書かれていませんが、継続賃料が現行賃料を前提に契約当事者間の公平に留意して決めるものである以上、当事者が一度受け入れた元本と賃料の関係を出発点に置くのが筋だと読めます。この割合を出すために、利回り法の適用の過程で直近合意時点の基礎価格を求める場合があります。
割合を踏まえて比較考量するので、同じ率とは限りません
出発点の割合を踏まえたうえで、基準は、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、期待利回り、契約締結時及びその後の各賃料改定時の利回り、基礎価格の変動の程度、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等の類似の不動産又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃貸借等の事例における利回りを総合的に比較考量するとしています。地価が急に上がった局面で前回の3%をそのまま今の元本に掛けると、地代が一気に跳ね上がり、賃料が地価に遅れて動く実態とも当事者の公平とも合いません。だから「踏まえ」であって「採用する」ではなく、継続賃料利回りが前回の割合と同じ率になるとは限りません。

前回の割合を踏まえ、期待利回りや地価の変動と見比べて率を決める。
前回の割合をそのまま採ると、スライド法と同じ答えになります
基準は利回り法とスライド法を別の手法として定めていますが、二つの式を並べると、特定の場合に同じ答えになります。利回り法で前回の割合をそのまま継続賃料利回りに採ると、試算賃料は「価格時点の基礎価格×前回の割合+必要諸経費等」です。前回の割合は「直近合意時点の純賃料÷直近合意時点の基礎価格」なので、掛け合わせると「直近合意時点の純賃料×(価格時点の基礎価格÷直近合意時点の基礎価格)」になります。これは、スライド法の変動率に基礎価格の変動率を採ったときの式そのものです。つまり、比較考量で率を動かさず、指数も地価だけに絞ると、二つの手法は区別がつかなくなります。
継続賃料利回りは、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえ、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、期待利回り、契約締結時及びその後の各賃料改定時の利回り、基礎価格の変動の程度、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における対象不動産と類似の不動産の賃貸借等の事例又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃貸借等の事例における利回りを総合的に比較考量して求めるものとする。
出典: 総論第7章 第2節
実務ではこう使う
地代の評価書では、直近合意時点の更地価格と純賃料から当時の割合を示し、現在の期待利回りや周辺の地代の利回り、地価の変動の程度との差を、契約の経緯とあわせて説明して継続賃料利回りを決めます。地価が急落した局面では当時の割合をそのまま使うと賃料が過大になるので、調整した根拠を丁寧に書きます。
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