個別性とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
個別性とは、土地の自然的特性の一つで、まったく同じ土地は二つとない(非同質性、非代替性)という性質です。つまり、土地には同じ規格の量産品がなく、一つひとつ違うということです。
個別性とは
隣り合う同じ面積の二つの土地でも、形、道路との接し方、日当たり、地盤は一つずつ違います。冷蔵庫なら型番が同じものをどの店で買っても同じですが、土地には替えがききません。基準はこの性質を「個別性(非同質性、非代替性)」と呼び、自然的特性の一つに挙げます。同じ場所に同じ土地は一つしかない、という点で地理的位置の固定性ともつながっています。

同じ面積でも、形も道路との接し方も一つずつ違う。
二つとないから、個別的要因を一つずつ調べます
同じ土地が二つとない以上、鑑定評価では対象不動産の地積、形状、接面道路、高低差といった個別的要因を、一筆ごとに調べます。工業製品なら型番で値段が決まりますが、土地は一つずつ値打ちを確かめるしかありません。総論第6章の個別分析は、対象不動産の個別的要因が利用形態と価格形成に持つ影響力を分析して最有効使用を判定する手順で、土地が一つずつ違うことを前提にしています。

隣の土地の値段があっても、形と道路付けが違えば一つずつ確かめる。
二つとなくても、条件が似た土地には代替性が認められます
基準の括弧書きにある非代替性は、この土地そのものを別の土地で置き換えることはできない、という意味です。基準は同じ節で、不動産は地域内の他の不動産との間に協働、代替、競争等の関係にたつ、とも定め、総論第4章には代替の原則があります。二つを合わせて読めば、非代替性は理論的で物理的な意味の性質で、現実に土地が取引されるときは、用途、位置、地積、環境などの条件がおおむね似ている土地の相互間で、こちらでもよい、という代替の関係が認められることになります。似た土地の取引価格から対象不動産の価格を求める取引事例比較法は、この代替性があって初めて成り立ちます。
取引価格が個別的に形成されることとは、別の話です
第2節が挙げる価格の特徴の四つ目は、現実の取引価格等は取引等の必要に応じて個別的に形成されるのが通常で、個別的な事情に左右されがちだ、というものです。こちらは、転勤で売り急いだ、隣地を買い進んだ、という取引の側の事情の話で、土地が一つずつ違うという性質の話ではありません。同じ「個別」という字を使いますが、第1章は二つを結び付けてはいません。総論第7章の手順で言えば、土地の個別性は個別的要因の比較で、取引の個別的な事情は事情補正で扱う、と整理できます。

土地の違いは個別的要因の比較で、売り急ぎの事情は事情補正で扱う。
自然的特性として、地理的位置の固定性、不動性(非移動性)、永続性(不変性)、不増性、個別性(非同質性、非代替性)等を有し、固定的であって硬直的である。
出典: 総論第1章 第2節
実務ではこう使う
取引事例比較法では、似た条件の事例地を選んだうえで、対象地との違いを個別的要因の比較で一つずつ補正します。事例を選べるのは代替性があるから、補正が要るのは個別性があるからです。「隣の土地が坪いくらだったから同じ」と言う依頼者には、形や道路付けの違いで価格が変わることを説明します。
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