/ 鑑定理論

利用のあり方の同一性とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説

地域を理解するときの基準で、特定の自然的条件及び人文的条件との関係を前提として、不動産の使われ方が同じであることです。つまり、同じ条件のもとで同じように使われている不動産の集まりを、一つの地域と見ます。

利用のあり方の同一性とは

駅から歩いて帰る道で、大きな家も小さな家も古いアパートも、みな人が住むために使われている一帯に入ると、「このあたりは住宅街だ」と感じます。建物の大きさや古さはばらばらでも、使われ方が同じなら、私たちはそこを一つのまとまりとして見ています。基準はこの見方を、地域は特定の自然的条件及び人文的条件との関係を前提とする利用のあり方の同一性を基準として理解される、と書きます。利用のあり方とは使われ方のことで、その同一性とは、同じ条件のもとで同じように使われていることです。地域という言葉が指す範囲は、この同一性で決まります。

利用のあり方の同一性の図解:大きさや古さは違っても、使われ方が同じなら一つの地域。

大きさや古さは違っても、使われ方が同じなら一つの地域。

同一性が基準だから、どこまでが一つの地域かが決まります

地域には、駅前の商店街のような小さなものから、市の全体のような大きなものまで、規模、構成の内容、機能に従って各種のものがあります。大小はさまざまでも、どの地域も、使われ方が同じ範囲を一つにまとめる、という同じ基準で理解されます。もし使われ方の多様さを基準にしたら、どこで区切っても中に違う使われ方が混じることになり、どこまでを一つの地域と呼ぶかが決められません。使われ方が同じところまで、と決めるからこそ地域の範囲が定まり、他の地域と区別されるべき特性も見えてきます。

同一性は、自然的条件及び人文的条件との関係を前提にします

使われ方が同じなのは偶然ではありません。平らな地盤、駅までの距離、用途地域の指定といった条件を共有しているから、同じような使われ方に落ち着きます。基準が同一性の前に「特定の自然的条件及び人文的条件との関係を前提とする」と付けるのは、条件と使われ方を一組で見るためです。一軒の不動産が条件を与件として利用されるのと同じように、不動産の集合である地域も、条件との関係で使われ方を理解します。条件を落として使われ方だけを比べると、なぜそこが一つの地域なのかが説明できなくなります。

利用のあり方の同一性の図解:一軒でも集まりでも、条件と使われ方を一組で見る。

一軒でも集まりでも、条件と使われ方を一組で見る。

使われ方で区切るから、用途で分ける種別が立てられます

地域を使われ方の同一性で区切ると、住むための一帯、商うための一帯、耕すための一帯というまとまりが現れます。総論第2章が地域を宅地地域、農地地域、林地地域のように用途で分ける不動産の種別は、この区切り方の上に立っています。地域分析で特に重要とされる用途的地域(第6章)も、同一性を用途について見たものです。第1章の同一性は、第2章の種別の分類が前提とする地域性と地域の特性の中身に当たります。

このような地域には、その規模、構成の内容、機能等に従って各種のものが認められるが、そのいずれもが、不動産の集合という意味において、個別の不動産の場合と同様に、特定の自然的条件及び人文的条件との関係を前提とする利用のあり方の同一性を基準として理解されるものであって、他の地域と区別されるべき特性をそれぞれ有するとともに、他の地域との間に相互関係にたち、この相互関係を通じて、その社会的及び経済的位置を占めるものである(地域の特性)。

出典: 総論第1章 第2節

実務ではこう使う

地域分析で近隣地域の範囲を地図に描くときは、戸建てが並ぶ範囲、店が並ぶ範囲、工場が並ぶ範囲というように、使われ方が変わるところに線を引きます。線を引いたら、その範囲の中で駅までの距離や道路の幅、用途地域といった条件が共通しているかを確かめ、条件と使われ方の両方で一つの地域と言えることを評価書に書きます。使われ方が混じる場所は、その地域の標準的使用にどちらが近いかで判断します。

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