重畳的とは?不動産鑑定評価基準での意味を図でわかりやすく解説
重なり合っている、という意味の言葉です。基準は、地域にはその規模、構成の内容、機能等に従って各種のものが認められると定めており、つまり一つの不動産は、見る観点の違ういくつもの地域に同時に属しています。
重畳的とは
一軒の家の郵便受けを思い浮かべてください。市役所からは市の広報が、小学校からは学区のお知らせが、駅前の商店街からは売り出しのチラシが届きます。同じ家が、市という地域にも、学区という地域にも、駅前の商圏という地域にも入っているからです。基準はこれを、地域にはその規模、構成の内容、機能等に従って各種のものが認められる、と書きます。観点しだいで地域はいくつも引けるので、一つの不動産はそれらに重なって属します。この重なり方を、基準にはない語ですが、講義コースと同じく重畳的(重なり合っている)と呼びます。

市からも学区からも商店街からも届く。一軒の家はいくつもの地域に重なって属する。
地域は、規模や構成の内容や機能に従って各種あります
地域は一種類ではありません。何を共通の条件と見るかで、区切り方が変わるからです。川の流域のように自然的条件で区切る地域、市や町のように行政区画で区切る地域、駅や学校といった施設を中心にまとまる地域が、同じ場所に重なって引けます。規模(大きさ)、構成の内容(何が集まっているか)、機能(何の役割を果たすか)のどれを見るかで、線の引き方が違ってくるということです。
どの地域も、利用のあり方の同一性を基準に区切られます
重なっているといっても、それぞれの地域は「同じように使われている不動産の集まり」というくくりで引かれます。基準は、そのいずれもが、特定の自然的条件及び人文的条件との関係を前提とする利用のあり方の同一性を基準として理解される、と定めています。住宅街は住むという使われ方が同じ土地の集まりで、商圏は買い物に来る範囲という使われ方でくくった集まりです。区切りの基準が「同じであること」だから、地域は他の地域と区別されるべき特性を持ち、他の地域との相互関係の中で社会的及び経済的位置を占めます。
鑑定評価では、重なる地域のうち用途的地域を取り出します
地域分析で特に重要なのは、用途的観点から区分される地域、つまり近隣地域とその類似地域、そしてそれらを含む同一需給圏です(総論第6章)。土地の価格は使われ方で決まるので、重なり合う地域の中から、使われ方でくくった地域を取り出して見ます。学区や行政区画は、それが使われ方や価格に影響する限りで手がかりになります。近隣地域の範囲を決める作業は、何枚も重なった地図から用途の一枚を抜き出す作業です。

重なった地図の中から、鑑定士は使われ方で引いた一枚を取り出す。
このような地域には、その規模、構成の内容、機能等に従って各種のものが認められるが、そのいずれもが、不動産の集合という意味において、個別の不動産の場合と同様に、特定の自然的条件及び人文的条件との関係を前提とする利用のあり方の同一性を基準として理解されるものであって、他の地域と区別されるべき特性をそれぞれ有するとともに、他の地域との間に相互関係にたち、この相互関係を通じて、その社会的及び経済的位置を占めるものである(地域の特性)。
出典: 総論第1章 第2節
実務ではこう使う
地域分析では、対象不動産の属する市町村、学区、最寄り駅の商圏を資料で確かめたうえで、価格に効く範囲を近隣地域として区切ります。評価書には近隣地域の範囲を書き、その外側に同一需給圏という別の広がりも書くので、一つの不動産をいくつもの地域で重ねて見ていることになります。どの地域の話をしているかを取り違えると、地域要因の比較が狂います。
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